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機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理95これまでの研究では,委託生産及びOEM は企業間提携(alliance)の一分類として取り上げられている2。提携といった場合には,販売協力,技術ライセンス,共同開発,共....

機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理95これまでの研究では,委託生産及びOEM は企業間提携(alliance)の一分類として取り上げられている2。提携といった場合には,販売協力,技術ライセンス,共同開発,共同生産,合弁会社,資本参加などOEM や委託生産の他にも多様な形態が存在している3。こうして提携の一分類としてOEM は位置づけられているが,石井[2000],鈴木[2002]ではパートナー企業間の機能的連関の強弱と価値活動(研究開発・生産・販売など)での分業という点でOEM や委託生産は共同開発や共同生産と大きく異なるとしている。共同開発や共同生産の場合,パートナー企業間の機能的連関は強く,研究開発や生産といった価値活動内で両者のタスクが重なり合う部分が多い。他方で,OEM の場合はパートナー間の機能的連関は薄く,分業は研究開発・生産・販売といった価値活動ごとに設計されるケースが多い。さらに秋野[2008]では,OEM・委託生産・下請の3つのパターンに焦点を絞り,その違いを委託企業の関与度で分類している4。秋野[2008]では,OEM には市場での売買取引と製造の請負という2 つの性質を踏まえる必要があることが指摘され,その両方を包括的に捉えるために,上記3 つパターンを広義のOEMとしたうえで,市場取引に近い形態を狭義のOEM,委託企業の設計・仕様に基づいた生産のみを受託企業が行う場合を委託生産,製造請負にもっとも近い形態のものを下請としている5。以上のように,本論で焦点を当てる外部組織活用形態であるOEM・ODM・委託生産については,一般的には「提携」の一分類とされている。その上で,3 つの類型を細かく分類するのは,パートナー企業間の機能的連関の強弱や委託企業による受託先企業への関与の度合いであるということがわかる。次節では秋野[2008]で提示された広義のOEM が行われている場合において,委託側・受託側にはどのような意図があるのかを整理する。2 鈴木[2002]195ページ,石井[2000]35-36ページを参照。3 石井[2000]38-43ページ,安田[2006]44ページを参照。4 秋野[2008]88ページを参照。5 秋野[2008]87-88ページを参照。