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機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理97供  給  側調  達  側メリット・一度に大量の受注が可能であるため,規模の経済性が発揮できる。・販売を相手任せにできるため,販売網の構築や広告・宣伝などをし....

機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理97供  給  側調  達  側メリット・一度に大量の受注が可能であるため,規模の経済性が発揮できる。・販売を相手任せにできるため,販売網の構築や広告・宣伝などをしなくてよく,投資額を大幅に抑えて販売量を増やすことができる。・受け入れ側が供給側に対して自社仕様規格(specification)に基づく製造を委託して,製造工程についても仔細に管理・指導する場合においては,受け入れ側より技術や情報を得ることができる。・支払いが即金のため,資金繰りに有利である。・受注生産であるため,在庫リスクがない。・事業の早期立ち上げができる。・商品提案をする場合,部品メーカーに比べて利益率は高い。・相互OEM 供給を行う場合では,商品のラインナップを維持したまま投資先の選択と集中を行えるので,投資効率を高めることができる。・VTR の規格競争におけるメーカー間連携のように,自社の開発した,あるいは自社の属する陣営の規格をデファクトスタンダードにするための手段になる。・自社で生産をしなくとも低コストで調達でき,需要変動によるリスクも少ない。・新規事業の市場への迅速なアクセスが可能となる。・研究開発投資および設備投資を抑えることができる。・製品のラインナップを維持・拡大することができる。・VTR の規格競争におけるメーカー間連携でみられたように,流通チャネル,ブランドを持ちながら商品に対する生産決断が未定の場合,OEM 供給を受けながら状況判断することができる。デメリット・自社ブランドの普及と定着が図れない。ブランドイメージの向上につながらない。・特に不景気になったときなど,受け入れ側より一方的な契約破棄をされる危険性があるため,生産性が不安定になる可能性がある。・マーケティングやチャネルなどに関するノウハウの蓄積ができない。・当該製品に関して自社ブランド製品の販売網の構築あるいは育成が困難である。・技術開発などの従業員の意欲がそがれる。・技術進歩があった場合にOEM 契約の中で新技術による製品も供給するように義務付けられている場合は,技術革新による優位性を独占することができなくなる。・OEM 供給はしばしば取引特定的投資(transactionspecificinvestments)を抱えるために,取引先の事後的な機会主義というリスクに晒されやすい。これは結局交渉力(bargaining power)の弱点を意味し,利益を圧迫する原因になりかねない。・自社独自の技術を育てることができない。・パートナーの都合で十分な供給量が得られなかったり,提携が終了したりして,安定供給を確保できない可能性がある。・供給側が独自に生産・販売した場合競合が起こる。・供給側に対して自社仕様規格(specification)に基づく製造を委託して,製造工程についても仔細に管理・指導するタイプの場合,自社の技術が流出するおそれがある。・当該製品について,自社生産をOEM 調達に切り替えた場合,現実には生産撤退になり,長期的には生産空洞化による体質悪化の影響も考えられる。表1 OEM における供給側・調達側のメリット・デメリット出所:近藤[2004]442‐443ページを参照し,作成。