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102 高知論叢 第100号② 西欧から中欧へ生産移管をし,西欧生産拠点は生産を停止するが機能変更して存続【C社】在チェコ映像機器製造企業C社は,1990年代半ば,欧州における売上拡大により英国の生産拠点だけで....

102 高知論叢 第100号② 西欧から中欧へ生産移管をし,西欧生産拠点は生産を停止するが機能変更して存続【C社】在チェコ映像機器製造企業C社は,1990年代半ば,欧州における売上拡大により英国の生産拠点だけでは生産が追いつかなくなると予測されていたため,英国拠点を補完する目的でチェコに設立された。C社では,当初,小型商品を生産していたが,英国拠点で採算がとれなくなった商品を順に移管し,生産を拡大してきた。そして薄型の新商品の欧州生産が開始されるとき,英国で生産するかチェコで生産するか議論がなされたが,最終的にチェコで生産することになった。新商品は,英国で生産していた旧商品を代替する形で市場に広がったため,旧商品に対する需要が減少し,英国拠点の生産機能は停止することになった。C社の設立にあたって,経営技術や生産技術は,日本からではなく英国現地法人から移転された。当時のC社の社長は英国現地法人の社長が兼ねており,C社の実質的なトップである副社長は英国からの移転の責任者であった。これらの英国からの支援により,単なる製品移管にとどまらない,移転経営移転や技術移転による生産そのものの移転がなされた。英国拠点は,営業機能は日本へ,生産機能は実質的にチェコへ移し,研究開発機能のみを残すことになった。英国拠点の研究開発は,研究者の層が厚く,人件費は高いが必要不可欠のものだと認識されている。すでにC社でも研究開発の活動を始めているが,現状では英国で行っているレベルの研究開発をチェコで行うことはできない。ただし,将来的には研究開発機能もチェコに移す可能性はある。それは,日本の事業部が,世界の研究開発リソースをどう使うか考えて決めることになる。【D社】在ハンガリー自動車音響機器製造企業D社の親会社の基本戦略は,中国の生産拠点を世界のメイン工場とし,米国や欧州にも各市場向けの生産拠点を補完的工場としてもつというものである。D社は,1990年代後半に,大きなビジネスが欧州で成立し,基板を供給できな