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欧州における日本電気機械企業の生産体制の展開103いと将来困難な問題が生ずると考えられたために設立されることになった。D社の製品は,自動車用電気部品だが,音響機器であって機能部品ではないので,必ずしも顧....

欧州における日本電気機械企業の生産体制の展開103いと将来困難な問題が生ずると考えられたために設立されることになった。D社の製品は,自動車用電気部品だが,音響機器であって機能部品ではないので,必ずしも顧客の近くで生産する必要はない。そのため,欧州の顧客からは遠い中欧に生産拠点を設立することに大きな問題はなかった。数年前までフランスにも生産拠点があった。当時は,D社で基板を製造し,それをフランスに送ってマウントしていた。フランスの労働コストが高く生産を維持できなくなったため,マウントをD社に移管してフランスの生産拠点を閉鎖した。ただし,フランス拠点については,生産機能を無くした後,サービスセンター化し,ある程度の雇用を維持している。【E社】在スロバキア映像機器製造企業E社は1990年代後半に,ドイツ生産拠点を補完するものとして設立された。ドイツ生産拠点では,人件費の高さと製品価格の低下のため,生産コストを切り下げる必要性が高まっていた。そのため,高付加価値製品をドイツで生産し低付加価値製品をE社で生産する製品分業,およびドイツで生産した部品をE社でノックダウン生産する工程分業などが計画されていた。E社設立後,ドイツ生産で採算のとれない製品から順に生産を移管してきた。2004年までは,日本からの輸入部品を多く使っている製品は,ユーロワンが取得できずE社で生産することができなかった。しかし2004年以降,現地調達率に関係なく生産することが可能になり,生産移管もより高付加価値な製品に進んでいった。最終的に,ドイツの生産拠点の生産部門は閉鎖された。もともとドイツ生産拠点の最も重要な設立目的は関税回避であったので,スロバキアで関税回避が可能になったため,ドイツ生産拠点を残す必要性が無くなったからである。現在,ドイツ拠点は開発拠点として残っている。ただし,製品の基本設計はグローバル共通設計であるので日本で行っており,ドイツで行っているのはソフトウェア関係やテスト関係の範囲に限られている。【F社】在チェコ自動車電子部品製造企業F社は,2000年代初頭,中欧に生産拠点をもつ日本企業の要望に応える形で