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欧州における日本電気機械企業の生産体制の展開107K社の親企業が所有する欧州の関連事業の生産拠点は,以前はK社のみであった。しかし,2000年代半ばにK社の親企業がある日本企業を買収した結果,フランスの生産....

欧州における日本電気機械企業の生産体制の展開107K社の親企業が所有する欧州の関連事業の生産拠点は,以前はK社のみであった。しかし,2000年代半ばにK社の親企業がある日本企業を買収した結果,フランスの生産拠点もグループ会社になり,欧州に二つの生産拠点が存在することになった。しかし,この二つの生産拠点では顧客が異なり,また部品会社は生産を変える時には顧客の自動車メーカーの承認が必要であるため,すぐに生産の協力や統合ができるわけではない。K社は,将来的な構想としては,生産統合や生産の棲み分けを検討しており,場合によってはフランスの生産機能をハンガリーに移管することもあるかもしれないと考えている。ただし,フランスの現地法人には,設備と生産経験をもっている,非常に高い現地調達率を達成しておりサプライヤーとの効率的な関係を構築しているなどの強みがあり,生産移管を行えばそれらのメリットが無に帰すということも考える必要があることも認識している。⑦ 中欧生産拠点がOEM生産により,他社の欧州生産体制の実質的変更を支援【L社】在ハンガリー映像音響機器部品製造企業L社は,1990年代末に,顧客の日本企業の欧州生産に対応する必要からハンガリーに設立された。主要には,ユーロワン問題と納期問題に対応するためである。L社の親会社の欧州生産拠点はL社のみである。しかし,L社がハンガリーに進出してまもなく,顧客の日本企業との取引が終了してしまい,受託加工へ方向転換することになった。その後,西欧および中欧に進出してきた日系企業を中心に,多くの会社と契約してOEM 生産を行っている。西欧に生産拠点をもつ企業はコストダウンの必要性に迫られており,中欧に生産拠点を移すことを考えているが,自社工場を設立する条件や環境が整わない企業も多い。L社は,そのような企業からの受注を受けてOEM生産を拡大させてきた。顧客の多くは日系企業である。日系企業は,L社のような日系EMS を頼る傾向がある。理由の一つは,日系企業が,価格の安さだけではなく品質や納期順守を重視するからであり,もう一つは,日本にいたころからグループ企業全体として付き合いがあったことによる信頼という基盤があるためである。