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欧州における日本電気機械企業の生産体制の展開109るケースである。(3)小 括本項では,前項の事例研究に関して,簡単な総括を行う。西欧と中欧の両地域で生産拠点を所有していた企業の現地法人11社に関する調査で....

欧州における日本電気機械企業の生産体制の展開109るケースである。(3)小 括本項では,前項の事例研究に関して,簡単な総括を行う。西欧と中欧の両地域で生産拠点を所有していた企業の現地法人11社に関する調査では,生産移管の経験がある現地法人が8社,生産移管の経験がない現地法人業が3社であり,生産移管の経験がある企業が多くみられた。生産移管を行った経験のある企業のうち,西欧生産拠点を閉鎖した現地法人が2社,西欧生産拠点の生産は停止したが西欧拠点そのものは機能変更して存続している現地法人が5社,西欧生産拠点を維持して西欧拠点と中欧拠点との間で製品分業をしている現地法人が1社(ただし,前項で記したように,この現地法人の親企業は,西欧に複数の生産拠点をもっており,閉鎖したものもある)。今回調査した生産移管の経験をもつ企業の多くは,低付加価値商品や労働コスト比率が高い商品など,西欧で生産が困難になってきた商品を,困難になった順番に中欧に移管しており,生産移転がほぼ完了している様子であった。多くの企業では,生産移管の後も西欧拠点を完全には閉鎖せず,機能変更により研究開発拠点・テクニカルセンターあるいはサービスセンターなどとして存続させていた。ただし,その重要性については企業によって相違があり,西欧拠点で長期的に蓄積してきた経営資源を積極的に維持しようとしている企業もあれば,西欧拠点を完全に閉鎖した場合に生ずる問題への対応策として一時的に維持しているように思われる企業もあった。また,前者の企業の中には,研究開発機能について中欧への移管や中欧での独自展開を図っている企業もあり,その場合,近い将来に西欧研究開発拠点と中欧研究開発拠点との関係を再検討する必要が生ずると思われる。生産移管の経験がない企業では,西欧生産拠点と中欧生産拠点との間で,製品,工程,あるいは顧客による分業関係が生じていた。製品分業や工程分業は,西欧地域と中欧地域の生産条件の相違を考えると,ごく自然な分業関係だと言える。しかし,このような分業関係を保持している企業は,今回の調査ではあまり見られなかった。上述の生産移管の経験をもつ企業も,生産移管が進めら