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110 高知論叢 第100号れている過程では,西欧生産拠点と中欧生産拠点との間で製品分業がなされていたが,ほとんどの企業(8現地法人のうちH社を除く7つの現地法人)では,すでにその分業関係を終了していた。電....

110 高知論叢 第100号れている過程では,西欧生産拠点と中欧生産拠点との間で製品分業がなされていたが,ほとんどの企業(8現地法人のうちH社を除く7つの現地法人)では,すでにその分業関係を終了していた。電気機械企業にとって,西欧で生産を維持することは,かなり困難な状況になっていることが見てとれる。とくに工程分業に関しては,電気機械部品は多くの場合比較的輸送が容易であるため,部品の特性に応じて,欧州域外の日本あるいは中国などから輸入されることも多く,欧州域内での分業ということにはなり難いようである。一方,顧客分業に関しては,今回の調査では1社に止まっているが,自動車電気部品を生産している企業では,このタイプの分業が数多く見られる。自動車産業では,多くの完成品企業が西欧と中欧で生産拠点を所有しており,完成品企業がとくに機能部品で近隣生産を望んでいる。また輸送コストが大きく,短納期の必要性も高い。したがって,自動車電気部品の生産企業も,顧客完成品企業の立地に従って,西欧と中欧で生産拠点を所有して,顧客対応を行っている場合が数多くある。今回の調査では,中欧にのみ生産拠点をもち,他企業に対するOEM 生産を行っている現地法人3社についても,検討の対象とした。中欧OEM 生産企業は,自社自体の生産体制を変化させているということではないが,西欧に立地する日系企業などの取引先企業が中欧のOEM 企業に生産を委託することによって,より効率的な欧州域内分業を実現して競争力を強化している。つまり,取引先企業がこれら中欧OEM 生産企業を利用して,実質的に自社の欧州生産体制を変化させているということができる。おわりに本稿では,日本電気機械企業の欧州生産体制について考察を行ってきた。その結果をまとめておこう。第1節では,日本電気機械企業の欧州進出の全体的状況について確認した。「欧州に現地法人をもつ企業全体」と「欧州に製造現地法人をもつ企業」を比較すると,後者が前者に占める比率は,親会社数では5割程度であるが,現地法人数では7~8割に達しており,「製造現地法人をもつ企業」が「現地法