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112 高知論叢 第100号地法人の増加傾向,西欧製造現地法人の減少傾向,西欧販売現地法人の変化の二極化傾向,西欧他機能現地法人の同数維持傾向が確認された。第3節では,日本電気機械企業の欧州における生産移管....

112 高知論叢 第100号地法人の増加傾向,西欧製造現地法人の減少傾向,西欧販売現地法人の変化の二極化傾向,西欧他機能現地法人の同数維持傾向が確認された。第3節では,日本電気機械企業の欧州における生産移管と生産体制の変容について考察を行った。まずジェトロの「在欧現地法人の生産移管」調査の結果を検討し,次に筆者の現地調査にもとづく事例研究を行った。調査を行った企業に関して,生産移管の経験をもつ企業の多くは,西欧で生産が困難になってきた商品を順に中欧に移管し,生産移転がほぼ完了していた。それらの企業の多くでは,生産移管の後も西欧拠点を完全には閉鎖せず,機能変更により研究開発拠点・テクニカルセンターなどとして存続させていた。ただし,その場合の西欧拠点の重要性については企業によって相違があった。また,これらの企業の中には,研究開発機能について中欧への移管や中欧での独自展開を図っている企業もあり,今後研究開発機能についても両地域拠点の関係を再構築する必要が生ずると思われる。生産移管の経験がない企業では,西欧生産拠点と中欧生産拠点との間で,製品,工程,あるいは顧客による分業関係が生じていた。しかし,製品分業・工程分業においては,西欧生産拠点の重要性が低下し,中欧や中国への生産移管,あるいは日本や中国からの輸入に代替される可能性が大きく,長期的にみて分業関係を維持することの困難性が増していくと思われる。顧客分業に関しては,とくに自動車電気部品企業で,完成品企業の立地や部品調達の特徴から,今後も継続されると考えられる。最後に,中欧でOEM 生産を行っている企業は,自社自体の欧州生産体制を変化させているということではないが,取引先企業がこれら中欧OEM 生産企業を利用して実質的に自社の欧州生産体制を変化させており,他企業の欧州生産体制変容を支援しているという特徴をもっていると言うことができる。以上,本稿の考察により,日本電気機械企業の欧州における生産体制が大きな展開を見せていることが明らかになった。日本電気機械企業の生産体制は,全体として,西欧生産拠点の縮小と中欧生産拠点の拡大という傾向を示しており,その中で西欧から中欧への生産移管が進められている。その過程において,