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117 論 説限界集落における孤立高齢者への生活支援(上)田中きよむ・玉里恵美子・霜田博史・水谷利亮[1]  はじめに筆者らは,中山間地の地理的条件と人口減少により地域が孤立化し,高齢化率が50%を越えて共....

117 論 説限界集落における孤立高齢者への生活支援(上)田中きよむ・玉里恵美子・霜田博史・水谷利亮[1]  はじめに筆者らは,中山間地の地理的条件と人口減少により地域が孤立化し,高齢化率が50%を越えて共同生活機能や行財政支援が困難になりつつある「限界集落」や「限界自治体」[2]を対象に,1)高齢者などの地域住民が抱える生活課題を総合的に明らかにするとともに[3],2)それらの多面的な生活課題に対する,地域・コミュニティやNPO,社会福祉協議会,市町村,県など,地域福祉ベースの支援と行政ベースの支援の双方のあり方を提示することを目的に調査研究を進めてきた。都市部の高齢者の孤立問題に関する分析としては,岩田正美・黒岩亮子,中沢卓実・淑徳大学孤独死研究会,河合克義[4]などによるものがある。岩田・黒岩によれば,孤立問題は,1970年代初頭から特に都市部における自殺や孤独死という形で社会問題化し,寝たきりや認知症の介護問題が大きくなるなかで関心が低下した後,再び注目されるようになっているが,「孤立」とは,仲間や社会関係,つながりをもっていない状態を指し,すでにある「つながり」やその再構築とは区別されている。竹内孝仁[5]も,孤立を解消するには単なる参加呼びかけよりも本人のライフスタイルや行動の変容を必要としていると指摘している。また,ほぼ「限界自治体」といえる福島県金山町の高齢者住民・世帯一般の福祉ニーズと地域・コミュニティの機能・あり方に関する分析は,佐藤嘉夫など[6]による研究がある。高知論叢(社会科学)第100号 2011年3 月