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118 高知論叢 第100号これらの研究を参考にしながらも,筆者らは,都市部ではなく過疎地域,それも「限界自治体」や「限界集落」といった社会的環境の最も厳しい地域を研究対象として,介護予防・福祉ニーズだけで....

118 高知論叢 第100号これらの研究を参考にしながらも,筆者らは,都市部ではなく過疎地域,それも「限界自治体」や「限界集落」といった社会的環境の最も厳しい地域を研究対象として,介護予防・福祉ニーズだけでなく,家族との関係や交流状況,仕事と収入,住居,近所づきあい,通院状況,移動・交通[7]や交流・生きがい・趣味[5],地域福祉活動や地域づくり活動等への参加状況,悩みや不安,暮らしと地域に対する思いなども含めて,孤立化した地域における高齢者の生活全般の課題について総合的に調査・分析を進めてきた。本研究の目的は,過疎・中山間地域で高齢化率50%を越えた「限界集落」及び「限界自治体」に関する以下の3点である。① 高齢者などの孤立した地域住民・世帯が抱える介護(予防)・保健福祉・医療ニーズ,家族との関係,仕事と収入,住居,近所づきあい,移動・交通,生きがい・趣味,地域福祉活動,地域生活の継続などに関する生活実態と支援課題を面接調査等により総合的に調査・分析する。② それらの多面的な生活支援課題に対する地域・コミュニティや社会福祉協議会・NPO,市町村・県など,地域福祉と行財政施策の両面での支援の現状と課題・方向を実証的に明らかにする。③ ①と②を総合化しつつ,過疎地域・限界集落の「維持可能な社会」のあり方を考察し,支援モデルを構築する。2008年度は,高知県香美市内の集落を事例に,個別訪問調査により生活ニーズと支援課題を包括的に明らかにした[3]。限界集落の高齢者の生活では,自家消費的農作業と年金により生計を立てつつも,①水管理や草刈りの負担,神祭や老人クラブ・敬老会の維持,通院等の移動,直接的な地域交流などに困難が生じており,②地域で暮らすうえで寂しさを感じることはなく暮らし続けたいと考えているが,介護が必要になった場合の不安があり,③今後10年以内には自分の住む集落が消滅することが危惧されている。地域で暮らし続けるうえで,①行政課題としては,災害対策,水や道路・川の管理,生活施設の整備,バスの維持・増便などの生活基盤整備がある,②地