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136 高知論叢 第100号林水産費や土木費が中心を占めていた。しかし,近年の財政再建推進の過程で公共事業費は大きく減少したため,農林水産費や土木費も減少していくことになった。変わって中心的な位置を占めるよ....

136 高知論叢 第100号林水産費や土木費が中心を占めていた。しかし,近年の財政再建推進の過程で公共事業費は大きく減少したため,農林水産費や土木費も減少していくことになった。変わって中心的な位置を占めるようになっているのは,民生費と総務費である。まず民生費の内訳に立ち入ってみてみると,2007年度決算では,民生費総額8.3億円のうち,社会福祉費と老人福祉費がそれぞれ約3.5億円,児童福祉費が1.2億円ということになっている。大豊町は人口の53%が65歳以上の高齢者であり(2010年2月28日現在,高知県統計課ホームページより),高知県下でもっとも高齢化率の高い町であるためか,県下の近隣町村・類似団体町村に比べ人口一人当たりでみた社会福祉費と老人福祉費の支出が多い。例えば2007年度でみると,図表6にあるように,人口が非常に少ない大川村を除けば,大豊町の特徴としては,社会福祉費・老人福祉費の支出が多いこと,また,15歳未満の人口割合(5.3%)が県下で最も少ないことを反映して,児童福祉費への支出がかなり少なくなっていることがいえる。社会福祉費・老人福祉費の増加を後押ししているのは,国民健康保険,介護保険,老人保健といった特別会計への繰出の増加であり,一般財源からの支出が増えざるを得ないことから,高齢化の進展と地理的条件の悪さが,今後も財政的に大きな課題となっていくことが予想される。次に総務費については,もともと職員の給与など管理に係わるものが多いためこれまでも主要な歳出項目の1つであったが,本科研費研究全体とのかかわりでみれば,住民の移動に係わる支出が注目される。大豊町総務課でのヒアリング調査(2009年9月15日)によれば,大豊町の現在の課題のひとつは高齢者図表6 一人当たり民生費額の比較(2007年度) (単位:円)大豊町近隣町村類似団体全国平均本山町土佐町大川村中土佐町津野町大月町社会福祉費65,950 51,126 47,060 106,227 34,625 53,855 45,267 57,477老人福祉費66,505 66,067 55,115 114,939 41,066 43,790 36,652 52,827児童福祉費23,107 42,269 36,482 35,708 45,574 22,512 44,730 32,167民生費合計155,562 159,461 138,657 256,873 121,265 120,157 126,649 142,538(出所) 高知県市町村振興課『平成19年度市町村行財政の状況』、総務省『類似団体別市町村財政指数表』