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146 高知論叢 第100号も高めてゆくことで解消してゆくことが行政方針となっている。本格的な水道設置は予算的に厳しいであろうが,住民による管理が高齢化の下で将来的に難しくなってゆく可能性がある。冬期の凍結問題を含め,普及だけでなく,水管理の問題を将来に向けてどうすべきかを検討すべき時期に来ている。「移動手段」は,大豊町の高齢者の生活における最大の問題であり,それは関係機関の共通した見方になっている。そこで,町としても,2009年度から新たに,町営バスの無料化と,乗り合いタクシー料金への行政補助を始めた。町行政として,移動支援に対する積極的な措置を講じたと言える。ただし,町営バスを無料化した反面,需要が少ないとの理由で同年度から便数を減らしたため,無料化するよりも便数を維持してほしかったという住民の声も聞かれる。また,乗り合いタクシーの低料金化を評価する声は少なくないが,実際には3人以上で運行している関係上,町内や町外の移動が高齢者の心身に負担を与える面があることにくわえて,通院などの際に他の乗客に対してプライバシーが保てないという面もある。また,バスもタクシーも通らない交通空白地域が存在することや,バス停まで,たとえば40分もかけて歩くというように,そこまで移動するための高齢者の負担の問題もある。移動支援に関する今後の方向としては,第一に,とくに交通空白的な移動困難地域においては,地域福祉的な移動支援の可能性を探ることが考えられる。たとえば,社会福祉協議会はデイサービスの送迎をおこなってきているが,インタビュー調査でも示されたように,あったかふれあいセンター事業やシルバー人材センターを活用して,移動支援をさらに充実させることも考えられる。あるいは,市町村が実施主体となりながら,直接の移動サービスについては社会福祉協議会が委託を受けて担うことも考えられる(市町村運営有償運送)。また,休止されたNPOによる移動支援を再開することも考えられる。その際,①生活支援サービスを主要サービスと位置づけて,移送を附随サービスと位置づける場合,②移動支援を区別しない形での一般的な会費を徴収する場合,③市場貨幣ではなく地域通貨を媒介とする移動支援の場合などは(高知県田野町では地域通貨「たのまー」による移動支援等が実施されてきた),道路運送法上の有償運送ではない形での移動支援が可能である。