100号

100号 page 153/242

電子ブックを開く

このページは 100号 の電子ブックに掲載されている153ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
限界集落における孤立高齢者への生活支援(上) 151健康づくりを積極的に進めており,閉じこもり予防,うつ予防,血圧の安定,筋力向上などの効果があらわれている。また,公民館と老人クラブが連携しながら「ふれあ....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(上) 151健康づくりを積極的に進めており,閉じこもり予防,うつ予防,血圧の安定,筋力向上などの効果があらわれている。また,公民館と老人クラブが連携しながら「ふれあい運動会」など,学校を生かして地域の絆を深める取り組みを自主的におこなったり,地域づくりの会を結成したりしている。今後,学校を宿泊施設に活用したりするなかで,地域内外の交流を通じた活性化が進むことが期待される。女性どうしのおしゃべりを通じたつながりも強いようで,老人クラブをこれからも盛り立てるなかで,明るく,かけがえのない人間関係づくりが継続してゆくであろう。今後,男性どうしが誘い合ったり,男性が得意なことで役割を発揮してもらうような関係・機会づくりも検討されてよい。そのような住民の積極的な取り組みがある反面,西峰地区の住民の力だけでは解決し得ない問題にも直面しており,その点では行政支援の可能性がないかの協議が必要であろう。一つは,鳥獣被害対策であり,県内の中山間地に共通した悩みと言えるが,町と県が連携した対策の強化策が求められる。もう一つは,移動の問題であり,バス停まで遠い人で歩いて40分かかっており,今回の聞き取り調査でも出されたように,せめて,へき地診療所が開かれる月1回の時だけでも移動支援する方向での検討が町に求められほか,より一般的には,前述のような移動支援の今後の選択肢を検討する余地がある。さらに,総合的な機能をもった公民館の整備や,国道の拡張についても,行政施策としての可能性の検討が求められる。【注】[1] 本研究は,平成21年度科学研究費補助金(基盤研究(C))課題番号20530526,研究課題名「限界集落における高齢者の孤立問題と行政・地域社会の支援機能に関する実証分析」による研究成果の一部であり,田中きよむ(研究代表者,高知女子大学社会福祉学部社会福祉学科教授),玉里恵美子(高知大学総合教育センター修学・留学生支援部門准教授),霜田博史(高知大学人文学部社会経済学科准教授),水谷利亮(高知短期大学社会科学科准教授)の共同研究である。本稿の執筆分担は,田中きよむ(はじめに,第1章Ⅲ,Ⅴ,Ⅵ,Ⅶ),玉里恵美子(第1章Ⅰ,Ⅱ),霜田博史(第1章Ⅳ)である。[2] 大野晃によれば,65歳以上の高齢者が集落の50%以上になり,共同体の機能維