100号

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14 高知論叢 第100号ミとしか読めないと述べた。その根拠は,万葉集には明津神吾王とあり,これはアキツカミワガオホキミとしか読めないからだと述べた。アキツミカミは天皇を指す天津神のみに限定せず,出雲の神々....

14 高知論叢 第100号ミとしか読めないと述べた。その根拠は,万葉集には明津神吾王とあり,これはアキツカミワガオホキミとしか読めないからだと述べた。アキツミカミは天皇を指す天津神のみに限定せず,出雲の神々も現御神と称したと本居宣長は述べている。「国津神出雲國造神壽」にも「天皇は今明らかに世におはします御神と崇み畏みて申す言なり,アキツミカミは出雲國神壽後釈にいへり明御神明津御とも書く33」とある。『続日本紀34』には,しろしめす,をすくに,あきつみかみと倭根子(やまとねこ)の文字が詔のなかの各冒頭にある。『続日本紀』では御宇だけでシラシメスであり,必ず食國ヲスクニ,現御神(アキツミカミ)とともに詔の慣用句となっている35。現神八洲御宇倭根子という詔の冒頭,天皇を修飾する定型句の理解は,従来,“現御神でありかつ大八嶋を治らしめる天皇”であり,この修飾語は天子の稜威を意味する尊称である。詔で示された天皇は,天上の神々,地上の人間界,黄泉の国の神々を繋ぐ祭祀者の首領であった。その“三つの世界を一身で繋ぐためにの神秘性を持った祭祀者”である。天皇は奇跡を現実化させる奇跡が伝説として『記紀』には記述されている。『記紀』以降の詔には食國が付加され,以後シロシメス統治と根子が天皇の敬称として定着した。本居宣長は「止」について「にて」という意味に捉え,「天皇は世に現(うつしく)坐します御神にして,天の下をしろしめす」と解釈している。つまり,天皇は現人神として地上に座していると同時に,天上から天下をシラシメている」と解する。本居宣長の解釈は,「そもそも後世に至りて,天皇を畏れ奉らざる者も,出来たりしは,世の人の心,漢意にうつりて現御神にまします御事をわすれたるが故なり36」と述べている。33 『出雲國造神壽後釈』『本居宣長全集第五巻』296頁34 『続日本紀』巻第四,元明天皇35 「現あきつみかみと神八おほやしまぐに洲に御しろしめす宇倭やまとねこ根子天皇詔旨勅命 親王諸王諸臣百官人等天下公民衆聞宣関母威岐 藤原宮ニ御宇倭根子天皇(持統天皇)丁酉八月爾 此食国天下之業乎日並所知皇太子(草壁皇子)之嫡子今御宇豆留天皇(文武天皇)爾授賜而並坐而 此天下乎治賜比諧賜岐 是者関母威近江大津宮御宇大倭根子天皇(天智天皇)」36 「出雲國造神壽後釈」『本居宣長全集第五巻』296頁