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160 高知論叢 第100号 第4に,地下資源に特徴的であるが,国民領域ごとに資源分布は偏在化しているので,有用資源や有用物についての国境をこえた交易(輸出と輸入)は必然的に発生するからである。 第5に,国....

160 高知論叢 第100号 第4に,地下資源に特徴的であるが,国民領域ごとに資源分布は偏在化しているので,有用資源や有用物についての国境をこえた交易(輸出と輸入)は必然的に発生するからである。 第5に,国境があるといっても,ベルリンの壁のような厳重なものはなく,実際には国境とは関係なく人,モノ,情報,文化などの交易と交流は古代から盛んであったからである。 第6に,国民領域といっても固定したものではなく,たえず統合や分裂などの流動的な再編があり,人,モノ,情報,文化などの交易と交流圏がすでに出来上がっていた後から,国境が線引きされる場合が多かったからである。 したがって,国民国家(主権国家)が支配する多数で多様な国民領域に分断されていた国民共同利用様式と並存して,さまざまな利用対象物について国境をこえた国際共同利用様式が生成されざるを得ないし,生成してきたし,発展してきたのである。 この国際共同利用様式を図で単純に表したものが,図表8の国際共同利用様式(単純対等ケース)である(下の図表8参照のこと)。利用対象物利用対象物国民A国民B[U]ap [U]ip投出(A国) (B国)投出投入投入利用対象物[U]bp投出投出投入投入国境図表8 国際共同利用様式(単純対等ケース)注)[U]ip はA国国民とB国国民の国際公共財となる。[U]ap はA国の国民公共財であるが,国際的にはA国の国民国家私的財となる。[U]bp はB国の国民公共財であるが,国際的にはB国の国民国家私的財となる。A国とB国の大きさの違いは多様な差異と格差を表す。      はA国の国民領域とB国の国民領域を遮断する国境である。出所)筆者作成