100号

100号 page 163/242

電子ブックを開く

このページは 100号 の電子ブックに掲載されている163ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(下) 161 図表8は,国民共同利用様式において国境をはさんで対置していたA国の国民公共財[U]ap とB国の国民公共財[U]bp が統合され,A国国民とB国国民にとって共通の国....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 161 図表8は,国民共同利用様式において国境をはさんで対置していたA国の国民公共財[U]ap とB国の国民公共財[U]bp が統合され,A国国民とB国国民にとって共通の国際的な利用対象物[U]が創造されたことを,単純に表したものである。 以前は,[U]ap はA国の国民だけが利用あるいは利用接近でき,[U]bp もB国の国民だけが利用あるいは利用接近できるだけであったが,今では,両国の国民がこの共通の国際的利用対象物を利用したり,利用接近できるようになったのである。 このようにしてこの両国国民にとって国境をこえた共通の利用対象物[U]は,A国国民とB国国民の国際的共同利用財になり,A国とB国の国際公共財(international public goods or international common goods)としての国際的名称を与えられ,[U]ip と表示されるようになる。  [U]を[U]ip という国際公共財にするのは,A国国民とB国国民の間の共同利用関係と共同利用様式であって,それが利用対象物[U]に,国際公共財という名称や国際公共性があるなどの,それを尊重すべき国際的名称が与えられたのである。 したがって[U]が[U]ip になったのは,[U]の素材的性質や属性などでは決してない。それでも国際公共性研究や国際公共財研究分野において今でも,「非排除性」と「非競合性」という財・サービスの性質によって公共財を定義する方法が国際分野に適用・応用されている。後に詳しく検討するように,これらの方法は,明らかに理論的矛盾や混乱,破たんを引き起こしているのである。 国際公共性(international publicness)とは,人間の投出と投入行為がさまざまな利用対象物について国境をこえて結合される集合的行為関係・行為様式である。この利用対象物になったものに国際公共財としての名称が与えられる。 これまで繰り返し述べてきたように,この集合的行為様式は,三つの行為側面から構成されており,一つの行為過程に一体化されている場合があるので,行為側面と表現してきた。それは,国際共同利用(international commonuse),国際共同利益(international common interest),国際共同制御(internationalcommon control)の三つである。