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公共性研究の方法と公共性三元論(下) 165 国際共同制御の地理的・水平的範囲からの分類とは,利用対象物の関係する地域的範囲あるいはそれにかかわる行為範囲の広がりによって,国際公共性の具体的諸関係を区分す....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 165 国際共同制御の地理的・水平的範囲からの分類とは,利用対象物の関係する地域的範囲あるいはそれにかかわる行為範囲の広がりによって,国際公共性の具体的諸関係を区分することである。二国間レベルにおける国際公共性から,多数国間レベル,ブロック国家間レベル,さらにすべての地球市民・住民をふくめたグローバル・レベルの地球公共性(global publicness)などが存在する。利用対象物の関係する地域的範囲あるいはそれに関係する行為範囲が広がれば広がるほど,利用対象物の地域的・地理的範囲からみた国際公共財としての性格は高まる。例えば,この視点から評価した地球大気や地球環境などの国際公共財的性格はたいへん高度である。 ある一定の地域的範囲の国や利害関係国が,それらの関係国全体の共同利益の実現を目指すために地域的範囲の多数国間条約を締結・批准して,共通基準や協力原則を定めたり,それを遂行するための地域的国際機構を設立することもある。これは地域的・利害関係的な範囲のものであり地域的国際共同制御ということができる。国際河川委員会も関係利用国によって設立された。また,EU(欧州連合),東アジア諸国連合(ASEAN),石油輸出国機構(OPEC),アフリカ連合(AU),中南米経済機構(SELA)などは,この地域的国際機構である。 これに対して,国際連盟や国際連合などはすべての国の加盟を前提として設立されているので,地域的範囲という視点からすれば世界的・普遍的な規模での国際共同制御ということができる。 多くの国が普遍的国際機構に加盟しておりながら他方では地域的国際機構にも所属しているので,これらの地域的国際機構と普遍的国際機構の間には,一方では協力的・補完的・相互作用的関係が生じることもあるが,他方では利益関係が対立して競争的・排除的・敵対的関係になることもあり,複雑な関係にある。普遍的利益,地域的利益,個別的国家利益が重層的・多元的にからみあって,複雑な様相を示しているのが現実である。 国際機構はその機能面から分類しても多様である。活動範囲が特定の専門分野に限定している専門的組織と,それらもふくめて機能的に多くの諸問題や総合的問題を取り扱うことが定められた一般的・普遍的国際機構がある。国際連盟や国際連合は後者に属し,例えば国際連合は,平和や安全保障などを扱うほ