100号

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166 高知論叢 第100号か,それ以外に機能的な専門的諸部門を構え,総合的に活動している。 国際連合は192の国(2009年12月現在)が加盟する世界最大の国際機構である。その主要機関は,総会,安全保障理事会,経済....

166 高知論叢 第100号か,それ以外に機能的な専門的諸部門を構え,総合的に活動している。 国際連合は192の国(2009年12月現在)が加盟する世界最大の国際機構である。その主要機関は,総会,安全保障理事会,経済社会理事会,信託統治理事会,国際司法裁判所,事務局の六つである。国連憲章において,その目的は,「国際平和と安全の維持」「諸国の友好関係の促進と世界平和強化」「経済,社会,文化,人道の諸問題の解決と人権・自由の尊重を図るため国際協力を実現」などが掲げられている。また加盟国の原則に,「全加盟国の主権平等の原則を基礎とすること」,「国際紛争を平和的手段で解決すること」,「他の国家に対する武力行使を慎むこと」などが示されている。 国際共同制御の集権的・垂直的統合度から分類してみるとは,主権国家が策定した国際ルールによって,主権国家の権限や管轄権が制限・拘束される程度そしてそれらが国際機構に委譲される程度の違いによって様々な段階が区分できることである。国際法学者がこの段階区分を試みた研究成果がある。それは,この統合度を「国際公益実現の原初的形態」,「国際公益実現の間接的形態」,さらに「国際公益実現の直接的形態」というように三つの段階に区分するものである。26)  「原初的形態」というのは,関係諸国家間の共通利益の実現のために国際条約が結ばれるのであるが,その実現の担い手は原則として各国家機関であり,各主権国家間の権限配分とその相互不可侵が前提とされているものである。19世紀初頭の国際河川委員会が例示されており,それによって航行の自由は保障されたが,各沿岸国の排他的管理権限が認められ,委員会(国際機構)は各沿岸国の調整機能をもつだけであった。  「間接的形態」というのは,関係諸国家間の共通利益の実現の担い手は各国家機関であるものの,国際的に共通の規則と基準を制定し,加盟国はその実施を拘束され,国際機構は実施されているかどうかの監督権限(定期的な報告,事実審査,審議・勧告)を委ねられるものである。19世紀後半に設立された各種の国際行政連合が例示されている。現代に至ってもこのケースが依然として多いという。  「直接的形態」というのは,関係諸国家間の共通利益の実現のために設立さ