100号

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公共性研究の方法と公共性三元論(下) 169が,国際平和の維持と軍縮,開発問題に関して合意成立が困難であったことを明らかにしている。27) 平和・安全保障や人権分野さらに環境問題については,それに利害関係を....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 169が,国際平和の維持と軍縮,開発問題に関して合意成立が困難であったことを明らかにしている。27) 平和・安全保障や人権分野さらに環境問題については,それに利害関係をもつ大国の反対によって,上述の主権国家中心型の国際共同制御は行き詰まりをみせていたのである。そこで,市民や市民運動,市民団体,非政府間国際組織(NGO)などが,賛同する主権国家とも連携して国際的なネットワークを組織し,それが推進主体となる国際ネットワーク型の国際共同制御が有効性を増してきた。 1999年に発効した対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)の加盟国は,国連加盟国の8割以上の156にものぼる。しかし最初は,対人地雷全面禁止に賛同するカナダなどの中小国と非政府間国際組織(NGO)がネットワークを組み,1997年に条約署名会議が開催され,それぞれ自国の政府に呼びかけて批准国を増やしていって,発効に至ったのである。条約を批准していないアメリカもこの発効で事実上地雷を使用できなくなった。 2002年7月1日には,市民運動や非政府間国際組織(NGO),国際世論の力も加わり,ジェノサイド(集団殺害)や人道に対する罪,戦争犯罪,侵略の罪を犯した個人(元首を問わない)を国際社会が裁く「国際刑事裁判所(ICC)」設立条約が発効し,オランダのハーグに常設の国際裁判所として創設されることになった。しかしアメリカ,ロシア,中国などの大国はこの条約を批准していない。 不発弾による民間人被害が大きいクラスター爆弾(大量の子爆弾が広範囲にまき散らされる非人道的爆弾)の全面禁止条約(オスロ条約)は,2008年に署名式が行われたがそれが1年8ヶ月で発効したのは,アメリカ,ロシア,中国などの大国ではなく,欧州,アフリカなどの中小国の批准を積み上げてきたことが,2010年8月の発効に至ったのである。この条約にも,この爆弾を大量保有するアメリカ,ロシア,中国,イスラエルなどは加盟していない。 このような市民参加型の国際共同制御を地球的規模に広げ,人類全体の持続的利益(人類益)の実現を追求するという壮大な研究が国際連合グローバル・ガバナンス委員会によって行われ,1995年に報告書が発表された。この報告書は,人類全体の利益(わたしの考えからすれば最高度の国際共同利益)の持続的な