100号

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概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(下) 173際共同利用関係にも当然に応用でき,その方法論をわたしは「国際公共性三元論」とよぶことにする。この方法を図解したのが図表9国際公共性三元論である(図表9参照のこと....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 173際共同利用関係にも当然に応用でき,その方法論をわたしは「国際公共性三元論」とよぶことにする。この方法を図解したのが図表9国際公共性三元論である(図表9参照のこと)。 多様な国際共同利用行為のそれぞれについて多様な方法と質的水準があることは,図表における太い三本の矢印軸で表すことができる。国際共同利用軸,国際共同制御軸,国際共同利益軸の三本の軸である。これらは三つの行為側面のそれぞれについての高度性や質的水準を判定する軸となる。矢印の外側に向かって広がっていけばそれらの高度性や質的水準は高まる。 大気や地球環境などについての国際共同利用軸は高度である。しかし国際共同制御の発展度も高度であるとは限らない。関係国の意思が反映される民主主義的制度が保障されているかどうかという点で国際共同制御の質的程度・水準をみる基準も必要になる。さらに,国際共同制御が実際に関係国すべてにどの程度の共同利益をもたらしているかどうかという国際共同制御の質的程度・水準を評価する基準も必要になる。地域的範囲や統合性が発展したとしても民主主義制度や共同利益水準が発展するわけではないし,民主主義制度の発展についてもそれが自動的に共同利益を高めるとは限らない。 図表の細い矢印で表したものは,それらの行為側面が相互に関係しあっていることを示している。国際共同利用が持続的な国際共同利益を生み出すようにできるにはどのような国際共同制御が必要で,どのように成功し,どのように図表9 国際公共性三元論出所)筆者作成国際共同利用国際共同利益国際共同制御