100号

100号 page 177/242

電子ブックを開く

このページは 100号 の電子ブックに掲載されている177ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(下) 175 この研究は,地球公共財をそれが提起する政策上の課題に基づいて,次のように三種類に分類する。 第一分類は,自然界に存在する地球規模の自然共有財(natural global c....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 175 この研究は,地球公共財をそれが提起する政策上の課題に基づいて,次のように三種類に分類する。 第一分類は,自然界に存在する地球規模の自然共有財(natural global commons)であり,人為以前に蓄積されたストック変数である。例えば,オゾン層や大気(気象)などであり,集団行動の問題は過剰使用である。 第二分類は,地球規模の人為的共有財(human-made global commons)であって,例えば,科学知識,実用知識,世界共通の原則と規範(普遍的基本的人権など),世界の共通文化遺産,インターネットのような国境を超えたインフラなどである。この種の地球公共財が提起する課題は過小使用である。 第三分類は,これも人間界に存在するが地球規模の政策の結果(global policyoutcomes)であって,これには平和,健康,金融安定,自由貿易,貧困からの脱却,公正と正義などが含まれる。集団行動に関する問題は,供給不足である。 第一分類と第二分類は,わたしのいう国際共同利用対象物のことであるが,第三分類は,わたしのいう国際共同利益のことである。「政策の結果」であると但し書きをしてはいるものの,これは国際共同利益の目標値でもある。しかもこれらのそれぞれの便益と費用が「非排除的」あるいは「非競合的」かどうかを個々に分析した表が示されているが,この定義を満たしていないものが多い。 さらにこの研究は,地球公共財を生産連鎖によって区別するべきとして,次のように「最終財」と「中間財」に区分する。 ①最終財としての地球公共財は,通常使用される意味の『財』ではなく,結果(outcomes)であって,それは人類の共有遺産や環境などの有形なものかもしれないし,平和や金融秩序の安定などの無形なものかもしれない。 ②中間的な地球公共財とは,最終地球公共財の提供に役立つものであって,最も重要な中間財は国際レジーム(international regimes)である。それは公共財をもたらす他の多くの中間財の基盤となるものであって,例えば国際協定,国際組織,国際監視制度,国際的インフラストラクチャー,国際援助プログラムなどである。それは輸送・通信から保健,さらには環境,人口,司法制度,人権,マクロ経済政策等にまで及んでますます多くの分野を扱うようになって