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176 高知論叢 第100号おり,政府間のものだけでなく,国際的な市民組織や私企業も重要な役割を担いつつある。 ここでも地球公共財という用語の使い方があいまいである。国際共同制御行為とそれによってもたらされ....

176 高知論叢 第100号おり,政府間のものだけでなく,国際的な市民組織や私企業も重要な役割を担いつつある。 ここでも地球公共財という用語の使い方があいまいである。国際共同制御行為とそれによってもたらされる成果(わたしのいう国際共同利益)とが,地球公共財という同じ用語でいっしょくたにされている。 以上のような問題点を指摘できるが,国際共同制御に関して次のような重要な政策的手法を提起していることは,大いに評価できる。 第1に,地球公共財の供給を高めるために権限のギャップを埋めることである。これは国民や企業が国境を超えて引き起こす問題に対する全責任を国民政府に負わせるというものであって,「外部性のプロフィル」を作成させ,各国の国境を超える効果を正・負の両方に分けて明確にし,それについての国民政府の責任を透明にすることが,提起されているのである。 第2に,参加のギャップを埋めることである。これは政府,国民,市民社会,企業というグローバルな行為主体のすべてに,公共財の生産や消費に貢献する機会やそれらの優先順位を決定する機会を平等に配分することであって,国際機関の運営に南北代表を平等に参加させること,途上国が自己管理する「グローバル参加基金」の創設,市民社会や民間部門にもその機会を与えること,各部門の専門家を参加させること,などを挙げている。国際共同利用様式(単純非対等ケース) 国民共同利用様式(単純非対等ケース)の検討においては,地球資源が国民領域に支配・分断され,それぞれの国民領域において国民共同利用様式が発展していくとともに,国際システムは,格差システム,分裂・対立システムになり,国民国家間の資源争いや主導権争いが激化することを明らかにした。 国際共同利用様式(単純対等ケース)の検討においては,人類全体の持続的利益を目的とした,大国主導でない国際共同制御を展望してきた。 しかし国際共同制御においても,大国が主導権をにぎり,大きな影響力を及ぼしているのが現実である。例えば,国際連合をはじめとして多くの国際機構においては,一国一票の民主的な総会方式に加えて,大国が主導権をもち拒否