100号

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公共性研究の方法と公共性三元論(下) 177権を行使できるなどの常任理事会方式が並存しているのである。平和共同体として出発したEU欧州連合も,経済統合を急いで加重多数決方式を導入したのは,アメリカや日本の....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 177権を行使できるなどの常任理事会方式が並存しているのである。平和共同体として出発したEU欧州連合も,経済統合を急いで加重多数決方式を導入したのは,アメリカや日本の経済力に対抗するためであった。軍事力,経済力,金融力,資源力,科学技術力,文化力などにおいて強大な力(パワー)をもつ大国は,その国の国民公共財を国境をこえて開放し国際公共財とすることによって,国際公共財に対する自国の影響力を強め,自国の利益に結びつけることができる。戦後アメリカが,強大な軍事力で核の傘を作り上げたり,大量に集中した金を使って自国貨幣のドルを世界の基軸通貨に仕立てあげたことなどがその例である。 図表10は,このような国際共同利用様式の非対等ケースを単純な形で表したものである(下の図表10参照のこと)。A国国民とB国国民が国際的に共同利用する利用対象物[U]であるが,それがA国の主導下にあって,A国に有利に操作できるケースを表したものである。利用対象物[U]は,国際公共財としての性格をもちつつも,A国の国民国家私的財としての操作性が強まっているので,[U]ap・ip と表すことができる。図表10 国際共同利用様式(単純非対等ケース)注)[U] ap ・ ip はA国の国民公共財であるが,国際的にはA国の国民国家私的財であるとともに,A国国民とB国国民の国際公共財となる。[U] ab はA国の国民公共財であるが,国際的にはA国の国民国家私的財となる。[U] bp はB国の国民公共財であるが,国際的にはB国の国民国家私的財となる。A国とB国の大きさの違いは多様な差異と格差を表す。      はA国の国民領域とB国の国民領域を遮断する国境である。出所)筆者作成利用対象物利用対象物[U]ap [U]ap ・ ip投出(A国)投出投入投入国境国民A(B国)利用対象物[U]bp投出投出投入投入国民B