100号

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182 高知論叢 第100号発生させる。敏感性とは,政策枠組みが変化しない場合にある国の政策変化によって他の国がこうむるコストのことであり,脆弱性とは,それに対応するために他の国が政策変更をせざるを得ないこ....

182 高知論叢 第100号発生させる。敏感性とは,政策枠組みが変化しない場合にある国の政策変化によって他の国がこうむるコストのことであり,脆弱性とは,それに対応するために他の国が政策変更をせざるを得ないことにともなうコストである。 敏感性相互依存と脆弱性相互依存(とりわけ後者)は,パワー資源を生み出す。パワーとは,ある行為主体が,他の行為主体の(コストがかかるなどの点で)したくないことを強要できる能力であり,それによって結果をコントロールできることである。非対称的相互依存がパワーの源泉であり,敏感性相互依存度や脆弱性相互依存度の低い国家や行為主体がパワー能力をもつ。 したがって,相互依存によって自動的協調や相互利益が生み出される訳ではないし,利害対立がなくなるものでもない。先進国と途上国の間にも,資源生産国と消費国の間にも非対称的相互依存関係がある。現実は,完全な対称的相互依存と完全な非対称的相互依存の間の中間的な様々なケースの状況にある。 (3)国家や問題領域内のパワーの分布構造が国際システム構造を形づくり,それが国際レジーム(international regimes:以下,レジームと呼ぶ)の性格を形成する基盤的要因となる。レジームとは,「行為様式を規則化させ,相互依存の効果をコントロールするところのルール(rules),規範(norms),手続き(procedures)のネットワークあるいはそれらの公式・非公式の緩やかな集まり(sets)」である。 形成されたレジームは,今度は国家間や問題領域ごとの政治的・経済的交渉過程に介入し,交渉や決定に影響する。戦後発展したレジームは,発展途上国援助,環境保護,漁業資源保護,国際食料政策,国際通貨政策,多国籍企業規制,国際海運政策,国際貿易など多様な問題領域に広がっている。 (4)レジームは四つの要因で生成し変動する。経済過程(economic processes),全般的パワー構造(overall power structure),問題領域内パワー構造(powerstructure within issue areas),国際機構(international organization)である。経済過程は長期的要因であり,基本的には,全般的・問題領域内パワー構造が基盤的(潜在的)要因であって,いずれも複合的相互依存における政治的交渉過程を経由して初めて,現実にレジームの形成・変動の影響力をもつ。また国際機構は議題の優先順位を定めたり,集票力やグループ連携などを通じて,問題