100号

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概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(下) 183領域における個々のレジームに大きな影響を与える。 レジーム形成・変動の基盤的要因を全般的・問題領域内パワー構造の変動に求めたので,この論者はレジーム変動の構造主....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 183領域における個々のレジームに大きな影響を与える。 レジーム形成・変動の基盤的要因を全般的・問題領域内パワー構造の変動に求めたので,この論者はレジーム変動の構造主義者と言われるようになった。このことについては後ほど検討する。 (5)複合的相互依存論者は,そののち,アメリカによる覇権低下後も,レジームにより世界システムの安定が保たれるとの見解を表明するようになる。覇権が存在しなくても,レジームの形成が可能であるとの理論をその機能的効果から組み立てたのである。これが,レジーム変動における機能主義と呼ばれる理由であるが,これについても後ほど検討する。 以上の相互依存論者の国際公共財論についても国際公共性三元論の立場から検討すれば,次のように評価できる。 第1に,財,通貨,人,情報の国境をこえた移動の飛躍的な増加によって,国際システムの行為主体である国家間や国家内の国際行為主体間において国境をこえた共同利用関係が多様な問題領域で強まったとの認識,つまり国際共同利用諸関係が多面的な領域で地域的にも統合的にも強まったとの状況認識については,わたしも同意するものである。 第2に,相互依存によって自動的に協調や相互利益が生み出される訳ではなく,かえってそれによって利害対立が増大すること,さらに先進国と途上国の間のように非対称的相互依存関係の存在を指摘していることは評価できることである。 国際共同利用諸関係は,非競合性ではなくその本来的特性として競合性的性格を内在させている。国際共同利用諸関係が増大すればするほど,競合性や利益対立が増大する。競合性とは共同利用関係において発生するところの,ある者が利益を得れば他の者が損失をこうむる関係である。競合する双方がより高い共同利益を得るためには,高度な共同制御行為が必要となる。 第3に,相互依存という国際共同利用諸関係の多面化・高度化がレジームという国際共同制御を発展させるという理解は重要である。レジームとは,国際関係において国民国家や政府関係者などの行為主体の行動を何らかの方法で一定の目標にむけて制御することであり,それが国際共同利用関係の発展ととも