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概要:
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184 高知論叢 第100号に生成・発展することに注目している点で,それを評価するものである。 第4に,しかしながら相互依存論者には,一方ではパワーの強い国家が国際共同制御ルールを形成するという論者がおり,他方では,レジームを全体の利益のための制御行為であると最初から規定してかかる論者もいて,国際共同制御をその共同的性格からみた質的程度性やそれが現実に国際共同利益を実現させているかどうかという側面から,具体的・批判的に分析しないという問題点がある。 上述したように,レジームという概念やその研究は,広い意味での国際共同制御の行為側面に注目したものであるので,わたしはそれを評価するものである。 この概念が1970年代半ばに提唱されて以降,リベラリズム論者だけでなくリアリズム論者もふくめ多数の論客が参加して精力的な研究が行われて大量の研究成果が残されており,地球的規模での問題領域群の増大と拡大に促され現在でもさらに理論的な発展を続け,グローバル・ガバナンス論にまで至っている。 レジーム論についての研究成果や論点は,レジームの定義,レジームの生成・変動についての諸理論(レジーム・アプローチ),レジームに対する態度,というように三つにまとめることができる。これらのそれぞれについて多様な諸学説や諸理論があり,多くの論争を巻き起こしてきたのであるが,ここではその一端を紹介してみよう。 一つめのレジームの定義についてであるが,これについては諸説紛々として多様な見解がある。 レジームを広く定義する見解は,国際関係においてパターン化された行為様式あるいは規則化された行動様式が確認できれば,そこにはなんらかの原理・規範・ルールのようなものがありレジームが存在するというものである。これと対照的に狭く定義するものには,国際共同制御における制度化や機構化と区別するため,レジームを,明示された政府間協定に限定しようとする見解もある。また前述したように複合的相互依存論者のレジーム定義もある。 ネオ・リベラリズム論者だけでなくネオ・リアリズム論者も同意して一般的に定着したと評価されている定義が次のものである。33)  「レジームとは,国際関係の特定の領域において,行為主体(actor)の期