100号

100号 page 187/242

電子ブックを開く

このページは 100号 の電子ブックに掲載されている187ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(下) 185待を収れんさせていくところの,黙示的あるいは明示的な,原理(principles),規範(norms),ルール(rules),意思決定手続き(decision - making procedures)の集まり....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 185待を収れんさせていくところの,黙示的あるいは明示的な,原理(principles),規範(norms),ルール(rules),意思決定手続き(decision - making procedures)の集まり(sets)と,定義することができる。原理とは,事実,因果関係,公正についての信条(beliefs)である。規範とは,権利と義務の観点から定義される行為の準則(standards)である。ルールとは,行動に対する許可や禁止などを定めた具体的諸規定である。意思決定手続きとは,集合的選択を決定しそれを実施するための支配的な慣行である。」 この定義は,上述したようなそれまでに出された多様な意見やネオ・リベラリズム論者とネオ・リアリズム論者の意見などを,できるだけ包括的に盛り込もうと試みたものである。したがって,レジームについて,ここでいう原理,規範,ルール,意思決定手続きという四つの要素がすべて明示的に該当する必要性はないし,これらの要素のいくつかが黙示的に国家や政府の行動を方向づけていたり拘束していることが確認されれば,レジームが存在するということになる。このように,これはレジームの範囲をかなり広く定義しようとしたものである。 明示的な性格をもつレジームについては,例えば国際機構を創設する際のことをイメージすれば,上記の定義は明解なものとなる。「原理」とは,目標とする価値理念を表した憲章とか宣言,設立理念などのことであろう。「規範」とは,より具体的に加盟国の権利や義務を定めた協定のことだと思う。さらに「ルール」とはもっと具体的・実務的に定められた条文や条項のことであろうし,「意思決定手続き」は,加盟国による会議の開催方法や手続き,投票手続きなどの決定方法についての手続き事項である。多数国間条約や二国間条約が締結される場合についても,上記の要件が条約に盛り込まれるのが通例である。 しかし,上記の定義は,そこまで成熟・発展していないもの(上記の四つの要素をすべて明示的に満たしていないもの)や黙示的な性格にとどまるものについても,レジームに含めようとするのであって,その点での線引きについてはあいまいさが残る。 このような不明瞭さがあるが,この定義が国際共同制御についてその内容や実体についての判断を差し控え,その形式的な行為様式に注目したことについ