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公共性研究の方法と公共性三元論(下) 189功や失敗そして理想と現実もふくめ柔軟に総合的に理解できる公共性研究を目指したが,今回はその枠組みを提示しただけにとどまった。 歴史的に人類が経験した文明の崩壊の....

公共性研究の方法と公共性三元論(下) 189功や失敗そして理想と現実もふくめ柔軟に総合的に理解できる公共性研究を目指したが,今回はその枠組みを提示しただけにとどまった。 歴史的に人類が経験した文明の崩壊のほとんどは,公共財の管理に失敗したことに起因する。私物化されて乱脈になったり,そこから戦争が発生したり,どん欲さから資源が乱獲されたり,最後にはゴミに埋もれて放棄されたりしたのである。かって文明が栄え水と緑が豊富だった所も今は砂漠になっている。周辺の森林から木材を切り出したためだという。都市自治体として栄えたマヤ文明も戦乱により崩壊した。縄文時代の山内丸山遺跡も,長年積み重なった山のようなゴミに押しつぶされ放棄されたものだという。これらの文明が栄えた跡地には,耐久性のある石組みの建築物だけが残っている。この石組みの廃墟は,人間が,人間による持続的な管理を必要とする再生型資源を食いつぶしてきたことを静かに物語っている。 地球資源に余裕がなくなってきた今,人類は優れた共同制御の様式を創造できるのであろうか。わたし自身にも問いかけられた研究課題である。注)21) 本稿において国際法上の用語や定義については,個々に注記しないが,すべて次の文献に依拠した。筒井若水編集代表[1998]『国際法辞典』,国際法学会[2005]『国際関係法辞典』第2版。22) 統計データ関係の叙述についても,個々に注記しないが,すべて次の文献に依拠した。共同通信社[2010]『世界年鑑2010』,国際連合統計局[2010]『国際連合世界統計年鑑2008(Vol. 53)平成22年日本語版』,正井泰夫監修[2010]『今がわかる時代がわかる2010年版:世界地図』,正井泰夫監修[2011]『今がわかる時代がわかる2011年版:世界地図』,岡野和則編[2010]『ブリタニカ国際年鑑2010』,矢野恒太記念会編集・発行[2010]『第21版世界国勢図会2010/11/24』。23) C. ダクラス・ラミス対訳(池田香代子再話)[2001]『世界がもし100人の村だったら』。24) 山内進氏が英国の著名な国際政治学者ヘッドリー・ブル教授の見解を次の文献において紹介したものを,紀国の責任で要約したものである。山内進[1993]「グロティウスのアンビバレンス 国家主権と人類の共通利益 」大谷良雄編著『共通利益概念と国際法』pp. 35~37。全文は,次の拙稿で詳しく引用,紹介した。紀国正典[2002]「国際公共性と国際公共性諸学説(上) 国際金融システムの規範的方法の検討(2) 」pp. 382~383。