100号 page 207/242
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205高知大学での教育活動をふりかえって紀 国 正 典 老教員はただ消え去るのみ 「光陰矢のごとし」とよく耳にすることはあっても,その実感はなかった。しかし本当に早いもので,わたしも今年度で高知....
205高知大学での教育活動をふりかえって紀 国 正 典 老教員はただ消え去るのみ 「光陰矢のごとし」とよく耳にすることはあっても,その実感はなかった。しかし本当に早いもので,わたしも今年度で高知大学人文学部を定年退職することになった。 高知大学経済学会は,恒例の活動行事として学会誌において定年教員退職記念号を特集することになっていたが,わたしは辞退させてもらった。多忙を極めている同僚や学会関係者に負担をかけたくないし,わたしも晴れがましいことが嫌いだったからである。できれば静かに去りたいというのが,わたしの心情なのである。 「老兵は死なず,ただ消え去るのみ」 これはダグラス・マッカーサー元帥の名言である。朝鮮戦争の拡大と核兵器の使用に反対してトルーマン大統領によって解任された彼が,引退演説の時に引用した言葉である。今のわたしの気持ちはこれと同じである。 辞退する代わりに,本稿のような一文を書かせてもらいたいとのお願いをしてみた。高知大学での30年近くになる教育活動をふり返って,総括してみたいのである。このようなわたしの勝手な注文を,高知大学経済学会運営委員会は認めてくださった。実にありがたく感謝する次第である。 研究活動についてはこの定年で終わるものではない。命尽きるまで生涯現役でいきたいし,いくつもりである。まだまだ多くの研究課題を残したままであ高知論叢(社会科学)第100号 2011年3 月