100号

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高知大学での教育活動をふりかえって209うにした。学生には好評でもっと配布してもらいたいとの要望が多かった。 松永佳子さんは,わたしに上記のような貴重なアドバイスを与えてくださった。今振り返って,いかに....

高知大学での教育活動をふりかえって209うにした。学生には好評でもっと配布してもらいたいとの要望が多かった。 松永佳子さんは,わたしに上記のような貴重なアドバイスを与えてくださった。今振り返って,いかに彼女の存在が大きいものであったかと改めて感じ入る。彼女は誠に惜しいことに,47歳の若さで癌で夭逝されたが,死期がせまった直前まで教鞭をとられていた。入院してすぐに逝去されたが,その直前に県立高知短期大学の非常勤講師の授業の際にお会いしたのが,生前の彼女と出会った最後であった。その時に少しやつれられたなと思ったが,いつもと変わらず笑顔を絶やさなかった姿を,今でも鮮明に覚えている。死と向き合っても,その毅然とした姿勢は私に感動と励ましを与え,私が大病をしたときにもそれに向き合う勇気をくれた。 それ以来ずっと最初の講義のときに,このようなアンケートを取ってきて,多くのデータが集まったが,それで驚かさせられたことがある。それを次に紹介してみよう。出席する意欲のわく講義とわかない講義 アンケート項目の?を構えたのは,学生が出席する気にならない講義とは,いったいどのような講義なのか,このことを知りたかったからである。わたしは授業方法や内容についての不満を想定していた。しかし意外にもいつも多かったのは,授業内容がどうのこうのという以前の問題だったのである。わたしはその結果にあ然とした。 一番多かったのは,「声の聞こえない講義」だったのである。教員が何かぼそぼそ話しているらしいが,声が聞こえない講義風景が目に浮かんだ。学生に声が届いていないことに気づいていないか,それともそういうことに無頓着なのであろうか。しかしこれでは講義は成り立っていない。 わたしは,大きい教室すべてには,ワイヤレスマイクをつけるように働きかけた。わたしの地声は大きいが,それでもマイクを使うことにした。 二番目が「私語を注意しない講義」だった。私語で騒然としている状況は,真面目に授業に集中しようとする学生には,大きな迷惑なのである。