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210 高知論叢 第100号 学生の私語には,多くの教員が困っている。しかし後述するように,学期最初の講義方針の説明で,うるさい私語を続ける学生は退去通告する旨の注意喚起をしておき,講義中にも注意をしていれ....

210 高知論叢 第100号 学生の私語には,多くの教員が困っている。しかし後述するように,学期最初の講義方針の説明で,うるさい私語を続ける学生は退去通告する旨の注意喚起をしておき,講義中にも注意をしていればかなり収まる。それでも意見カードには,後ろや前の学生のひそひそ私語が気になって集中できなかっので注意してくれ,との要望が度々あった。学生番号順に席を指定する方法が完璧に有効であると,ある教員から聞いた。もっと手軽な方法がないものかと考えて,教室に余裕があるときは,隣との間に一席空けて着席させる方法を試みたが,とても有効だった。静かで集中できると学生にも好評で,ぜひ続けてくれとの意見が多くあった。 三番目に,授業内容についての不満がきた。学生が理解できようができまいがそれにはおかまいなしに,自分の視点だけでの研究成果を披露するような講義についてである。自分の研究成果や自慢話を得意げに話す教員,学生のことを小馬鹿にし自分がいかに偉いかを誇示する教員,自分の世界に浸ってそれを延延と語る教員。このような教員を,多くの学生がジコマン,あるいはジコマン先生と呼んでいた。学生のことを考えず自分だけで満足している先生「自己満足先生」の略語である。学生の方をみずにレジュメをただ読み上げる授業,黒板に向かってひたすら板書をするだけの授業などについても学生は不満をあげていた。 わたしが大学院生のときに,しきりに研究教育統一論を聞かされた。すぐれた研究は教育に還元され,その教育の成果が研究にも生かされるという考えである。しかしこの考え方はたいへんに有害であり,大きな弊害をもたらした。結局は,教育を研究に従属させる役割を果たしたし,すぐれた研究をしていれば,それは教育に自然還元されるとの言い分になり,教育に向ける時間を削減する口実を与えたように思う。学生教育はそれ独自の方法があり,研究方法とは質的にもまったく異なった作業である。研究は独創性を要求されるが,教育は万人にわかることを求められるからである。 アンケートで,出席意欲のわく講義として回答が多くあったものを一言でいえば,「わかりやすい講義」である。 講義開始の最初にアンケートによって学生を知る方法は,さらに毎回の講義