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20 高知論叢 第100号してナショナリズムを高揚させる役割を充分に果たした。シラスに関する議論は明治22年憲法制定期以降しばらくなされなかったが,大正期の宗教学会,憲法学会での議論を経て,昭和初期には誇張,....

20 高知論叢 第100号してナショナリズムを高揚させる役割を充分に果たした。シラスに関する議論は明治22年憲法制定期以降しばらくなされなかったが,大正期の宗教学会,憲法学会での議論を経て,昭和初期には誇張,歪曲され,シラスが意味することは“国体の本義”“八紘一宇の精神”として天皇の絶対的権限を意味する言葉となり,幅広い層を巻き込んだ国体論争に発展した。明治憲法体制の天皇も象徴天皇であった。図1にみるように明治憲法下の天皇は親裁を建前とした象徴天皇であった。天皇大権は憲法の条規によって制限された。天皇は輔弼によって政を行うが国務に不答責であった。しかし,シラシメス天皇の思想は天皇大権を以て,憲法を超える存在へと変化させた。3.天皇大権に関する議論(1)神聖不可侵条項と天皇不答責明治15年,井上毅はロエステル,モッセとの間で,天皇大権を如何に位置付けるべきかについて質疑48を行った。井上毅は,憲法に君主の特権を列挙する48 伊藤博文『憲法資料』憲法資料刊行会 昭和9年2月127-131頁図1 天皇の推移神祇官太政官百官将軍地方王輔弼百官太政官神祇官百官将軍地方豪族大王・天皇天皇天皇天皇神代~ 上代古代~近世近代現代立憲制立憲制天皇太政官神祇官百官将軍・諸大名・領主摂関家