100号 page 227/242
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高知大学での教育活動をふりかえって225をもとに教えたところ,受講学生から,「(寄付講座)の講師は『リスク半減,プロの運用・安心』と強く言い,その他のことは全然言わなかった。今日の講義を聞いておどろいた....
高知大学での教育活動をふりかえって225をもとに教えたところ,受講学生から,「(寄付講座)の講師は『リスク半減,プロの運用・安心』と強く言い,その他のことは全然言わなかった。今日の講義を聞いておどろいた」,との授業感想カードが返ってきた。営業政策としての寄付講座と,自立した金融消費者の育成を目指す大学教育の目的とは,明らかに利益相反である。 金融業界が開発して無償で配布している教材も,投資による金もうけの方法をあおり,個人投資家層を増やし,金融機関のもうけのチャンスを拡大するためのものかもしれない。またそれゆえの金融機関の宣伝目的かもしれない。 わたしの考えている金融教育の方法と内容は,そういったたぐいのものではない。 第1に,投資ゲームに走るのではなく,資産・負債をしっかり自己管理できる金融消費者の育成,金融機関の横暴,不正,法令違反をただし,効率的で公正な社会的責任金融(SRF)を実現させることのできる金融消費者の育成である。できれば環境や雇用などに配慮した社会に役立つ投資方法(社会的責任投資:SRI)を考え,実践できる金融消費者の育成まで進みたい。そのような金融教育を目指しているのである。 第2に,教科書を受け身的に学ぶのではなく,もっと主体的・実践的に,社会に役立つ金融を考え,創造していける力を身につける金融教育である。 このような金融教育を実現するために,どのようにすればよいのか,今,それをわたしは模索している最中である。」(出所:末尾の報告書一覧②,pp. 27~29。) 社会的責任金融教育を中心目的としたゼミ学習の第1回目は,高知市に所在する金融機関のディスクロージャー誌とホームページを比較検討し,金融情報に対する金融機関の社会的責任意識を調査して,評価してみるということにした(末尾の報告書一覧②参照)。そこで,その後の調査活動の基本となる次の三つの目的と意義を示した。(1)金融機関の社会的責任の実施状況を調査・評価してみること,(2)生きた現実の金融知識を身につけること,(3)会社研究の方法や技能を学ぶこと,この三つである。その詳細を少し長くなるが,紹介してみよう。