100号

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234 高知論叢 第100号予備校化していいのだろうかとの,迷いも生じた。 ある企業の人事担当者が,「本音のところ,学業に専念してよく勉強をしている学生を優先している」と,こっそり打ち明けてくれたことは救い....

234 高知論叢 第100号予備校化していいのだろうかとの,迷いも生じた。 ある企業の人事担当者が,「本音のところ,学業に専念してよく勉強をしている学生を優先している」と,こっそり打ち明けてくれたことは救いであった。それならわたしがこれまで目標としてきた総合的な教養と専門的学力それにコミュニケーション能力を高めるだけでいいのである。実際に真面目に勉強していて友人も多くコミュニケーション能力の優れた学生の内定率は高い。このことは電通育英会と京都大学による初の統計調査からも裏付けられたという(日本経済新聞「就職に有利な学生は…対人関係・勉学意識高く」2009年7月20日付け)。 ではそれ以外に何が必要かと考えてみれば,自分の将来に対する学生の目的意識の変革,およびマナーとモラルの学習,この二つである。この二つはそれまでのわたしのゼミ学習で欠けていたことである。 学生の意識変革を促すために,前述したようにゼミ学習に会社研究を取り入れることとした。さらに,ソウルズ(SOULS)に「就勝道場」という掲示板を設けた。この名称は学生たちが命名したものである。これを使って,①ゼミ生相互に就職活動情報や学習方法,経験,悩みなどを交流でき,②上級生ゼミと下級生ゼミ間で就職活動情報や学習方法,経験,面接の注意事項などの交流が可能になり,③教員はいつでもどこでもゼミ生の就職活動指導(自己PR やエントリーシートの書き方など)の指導ができ,④これらの情報がすべて保存され,マウスをスクロールするだけで,次の世代の学生に容易に継承できるのである。 そして,マナー・モラルについてもゼミ方針に盛り込んで配布し,1回生ゼミのときから,ゼミのたびに最初の授業で指導するようになった。左頁の「紀国ゼミ:マナー・モラル・プレゼン原則」がそれである。 ゼミ生がある会社を訪問したら,受付から人事までの社員の多くが彼の大学と氏名を知っていて驚いたという。聞けば,エントリーがあった全国の学生に会社案内を送って,メールでお礼の返信があったのが彼だけだったので,会社中で話題になったのである。当然に即内定であった。