100号

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象徴天皇と神話31がだされた。これに反対する議員は「天皇ノ大権ニ属スル経費ハ之ヲ討議シ削減スルコト能ハサルトセハ是大ナル誤解ナリ憲法十三条及十四条ハ自由ニ之ヲ討議スルコトヲ許セリ60」という主張を行った。....

象徴天皇と神話31がだされた。これに反対する議員は「天皇ノ大権ニ属スル経費ハ之ヲ討議シ削減スルコト能ハサルトセハ是大ナル誤解ナリ憲法十三条及十四条ハ自由ニ之ヲ討議スルコトヲ許セリ60」という主張を行った。憲法には官制改革,歳出削減など大権に属することを議論することが違法とする条項はない 予算権を縮小することが「実ニ後世ノ為メ遺憾ナリ」この時の行政の予算権は天皇大権であるとの主張は141対125の小差で否決された。予算審議という最も基本的な議会の審議事項について,行政部はこれを天皇大権として議会の議論を無視しようとした。予算は天皇大権を背景とする行政官僚の専決事項であり,議会は審議する権限もないとする勢力が衆議院においても半数近くしめること自体,明治憲法の天皇大権条項の欠陥を示すものであった。このような官僚派対議会の対立は憲法制定以降,昭和初期まで続いた。② 宗教学会における論点憲法第1条の議論は『古事記』の理解に関して,神道に関する学会誌での論議と,憲法学会での天皇機関説論議があった。神道,宗教学に関する学会における,シラス,ウシハクの論議は,明治神宮内に事務局を置く明治聖徳記念学会の機関誌である『明治聖徳記念学会紀要』において行われた61。同学会紀要におけるシラスに関する議論は大正9年に行60 明治24年歳計予算衆議院67-69頁 この動議における13条14条とする記録は3条4条の誤りであろう。むしろ67条が重要である。「第67条 憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出及法律ノ結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ス」61 『明治聖徳記念学会紀要』におけるシラク,ウシハクに関する論考を以下に示す。加藤玄智「『うしはく』と『しらす』てふ言葉の異同に就きて」『明治聖徳記念学会紀要』第10巻大正7年,加藤玄智「『しらす』と『うしはく』てふ語の異同に関する研究」『明治聖徳記念学会紀要』第11巻大正8年,加藤玄智「本会に於ける『しらす』『うしはく』二語の研究開始に就きて」(大正8年4月例会)『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,井上哲次郎「我国体の特色を論じて『しらす』『うしはく』に及ぶ」『明治聖徳記念学会紀要第13巻大正9年,田中治五平「『しらす』の語義研究と「よさす」の辞義」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,加藤玄智「『しらす』と『うしはく』てふ語の異同に関する研究に就きて」(大正8年5月例会)『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,加藤玄智「井上・田中両君の所説中に含まるゝ矛盾の解除如何」『明治聖徳記念学会紀要第13巻大正