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32 高知論叢 第100号われた,シラク,ウシハクを共通テーマにした研究会が収録されている『明治聖徳記念学会紀要』第13巻を中心に議論された。同学会は大正元年11月明治天皇天長節において結成された。創立者の代表....

32 高知論叢 第100号われた,シラク,ウシハクを共通テーマにした研究会が収録されている『明治聖徳記念学会紀要』第13巻を中心に議論された。同学会は大正元年11月明治天皇天長節において結成された。創立者の代表でもあった加藤玄智が同紀要の中で,シラク,ウシハクについて最も多くの論文を書いた。加藤玄智は大正7年10月に執筆した「うしはくとしらすてふ言葉の異同に就きて」の論考は以後の論争の発端となった。加藤玄智は,うしはくとしらすは,井上毅が主張するように「覇道と王道」の違いはなく,井上毅の主張には「疑惑を生ずる」62 と述べた。当時の世間一般の論者が言うような,しらすとうしはくには大きな違いはない。「意字同義」であったと述べている。同論考の中で,うしはくは出雲の方言で,しらすは高天原族の方言であると主張している。同論考はわずか2頁の短いものであったが,学会の重鎮である加藤玄智の発言だけに,以後大きな論争を巻き起こした。加藤玄智がこのテーマに関して『古事記』『古事記伝』『万葉集』に依拠して最も系統的に考察した論考は大正8年『明治聖徳記念学会紀要』第12巻に掲載された論考「しらすとうしはくてふ語の異同に関する研究」であった。本居宣長はこの両語の相違を差別あるとしてしか述べていない,如何なる違いかも述べていないものを井上毅は「王覇の別」か9年,河野省三「古典の用例より見たる『シラス』と『ウシハク』」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,安藤正次「国語史上より見たる『シラス』と『ウシハク』」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,白鳥庫吉「言語上より見たる『シラス』と『ウシハク』」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年山本信哉「『シラス』と『ウシハク』の対立双用上の意義」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,井上哲次郎「以上所説に対する批評」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年加藤玄智「河野君対井上博士の批評に就きて」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻,井上哲次郎「更に一言す」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,三矢重松「『シラス』と『ウシハク』の語義」(大正8年9月例会)『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,加藤玄智「三矢君の批評に答へて『しらす』『うしはく』二語の異同軽重に及ぶ」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,筧克彦「『しらす』『うしはく』二語の表明せる根本精神を把柱せよ」第13巻大正9年,補永茂助「神道的に考えたる『しらす』の意義」『明治聖徳記念学会紀要』第13巻大正9年,加藤玄智「更に『しらす』と『うしはく』二語の異同に就きて」『明治聖徳記念学会紀要』第14巻大正10年,星野日子四郎「『しらす』と『うしはく』に対する本居一派の態度」『明治聖徳記念学会紀要』第14巻大正10年62 加藤玄智「『うしはく』と『しらす』てふ言葉の異同に就きて」『明治聖徳記念学会紀要』第10巻大正7年1頁