100号

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象徴天皇と神話35憲君主制ハ君民同治ノ政体65」であるとした。市村光恵も「天皇ハ最高ノ国家機関ナリ66」君主無答責は,国務大臣の責任と密接な関係があり,国務大臣の副書による。天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラスの条....

象徴天皇と神話35憲君主制ハ君民同治ノ政体65」であるとした。市村光恵も「天皇ハ最高ノ国家機関ナリ66」君主無答責は,国務大臣の責任と密接な関係があり,国務大臣の副書による。天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラスの条項こそ,天皇無答責明文化であり,君主も人である。外国の憲法には君主不可侵と国務大臣責任を一体化している,と述べた。これに対して,明治憲法に殉じた清水澄は国務大臣の責任は君主無責任と何ら関係がないと述べた。「天皇ハ又統治権ノ主体ニシテ統治ノ機関ニ非ス 統治権ノ主体タル天皇ハ万世一系ニシテ其ノ意思ハ過去現在未来ニ通シ天祖ノ意思ト結合シ万世不易67」である,と述べた。上杉慎吉は『帝国憲法綱領』において「天皇ハ治御國天皇ナリ,統治ハ大八島國知ロシメスナリ……天皇ノ主権ハ無制限68」と述べた。昭和10年に至って右翼の台頭によって憲法論争は政治問題化した。天皇機関説を攻撃された美濃部達吉は「一身上の弁明」とする,貴族院本会議にて演説を行った。同演説において美濃部もシラシメル天皇をそのまま受け入れたが,その後議会を追われた。「天皇が天の下しろしめまするのは天下国家の為であり,其目的の帰属するところは永遠恒久の団体たる国家に外ならぬ……国の最高機関として此国家一切の権利を総攬し給ひ,国家一切の活動は立法も行政も司法も総て,天皇に其最高の源を発するものと観念するのであります。是が所謂機関説の生ずる所以であります。69」天皇機関説論争以後,政府は2度にわたって「国体明徴に関する政府声明」を出した。「憲法発布の御上諭に国家統治の大権は朕が之を祖宗に承けて之を子孫に伝ふる所なりと宣ひ,憲法第一条には,大日本帝国は万世一系の天皇之を統治すと明示し給ふ。即ち大日本帝国統治の大権は厳として天皇に存すること明かなり。もしそれ統治権が天皇に存せずして天皇は之を行使する為の機関65 美濃部達吉『逐条憲法講義』昭和2年12月有斐閣70-71頁『憲法撮要』大正12年4月有斐閣66 市村光恵『帝国憲法講義』大正4年11月有斐閣284頁67 清水澄『帝国憲法講義』昭和7年8月松華堂書店83-84頁68 上杉慎吉『帝国憲法綱領』明治45年6月有斐閣49頁-52頁69 美濃部達吉昭和10年2月25日貴族院本会議演説