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39 論 説ヘーゲルの反射規定と『資本論』頭   川     博  はしがき 問題の所在1 ヘーゲルの反射規定2 資本と生産関係3 富と貧困4 資本蓄積と労働者人口の増大むすびはしがき―問題の所在 自然と....

39 論 説ヘーゲルの反射規定と『資本論』頭   川     博  はしがき 問題の所在1 ヘーゲルの反射規定2 資本と生産関係3 富と貧困4 資本蓄積と労働者人口の増大むすびはしがき―問題の所在 自然と社会から抽出された弁証法は,「量から質への転化の法則」・「対立物の相互浸透の法則」・「否定の否定の法則」の三つに帰着すると,『自然弁証法』のなかで,エンゲルスは,明言している1)。ここで,ヘーゲル(1770-1831)によって展開された三つの法則のうち,「『論理学』の第一部,存在論において展開され」(『自然弁証法』(1)国民文庫,菅原 仰・寺沢恒信訳,64ページ)た「量から質への転化の法則」は,『資本論』第Ⅰ巻第9章「剰余価値率と剰余価値量」で,中世的最大限をはるかにこえる生産のための貨幣が存在してはじめて,同職組合の親方が資本家に転化できるむねの説明に援用されている2)。また,「全体系の構成にたいする根本法則としての役割」(同ページ)をもつ「否定の否定の法則」は,第Ⅰ巻第24章第7節「資本主義的蓄積の歴史的傾向」で,結合生産様式からうまれる社会的所有のなかになりたつ個人的所有の再建の説明につかわれている3)。高知論叢(社会科学)第100号 2011年3 月