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42 高知論叢 第100号1 ヘーゲルの反射規定 ヘーゲルは,ドイツ古典哲学の完成者である。「近代のドイツ哲学はヘーゲルの体系によってその完結に到達した。」(エンゲルス『空想から科学へ』国民文庫,寺沢恒信・....

42 高知論叢 第100号1 ヘーゲルの反射規定 ヘーゲルは,ドイツ古典哲学の完成者である。「近代のドイツ哲学はヘーゲルの体系によってその完結に到達した。」(エンゲルス『空想から科学へ』国民文庫,寺沢恒信・山本二三丸訳,81ページ)ヘーゲルは,観念論の立場にありながら弁証法の基本形態を体系化した。「ヘーゲルの弁証法はすべての弁証法の基本形態なのです。」(1868年3月6日づけマルクスのクーゲルマンあて手紙『資本論書簡』[2]121ページ)「ヘーゲルは事物(現象,世界,自然4 4 )の弁証法を,概念の弁証法のうちで天才的に推測した4 4 4 4 。1)」(レーニン『哲学ノート』[第1分冊]岩波文庫,松村一人訳,181ページ,圏点―レーニン)そこで,マルクスは,ヘーゲル哲学から観念論的な外皮2)にくるまれた弁証法の「合理的な核心」(Kapital,Ⅰ,S. 27)をとりだしてたかく評価し,「あの偉大な思想家の弟子」(Ibid.)であるとさえ自任した。エンゲルスによれば,ヘーゲル哲学からは,「今日でもなお人々をおどろかすほどの豊かな思想」(『フォイエルバッハ論』国民文庫,藤川 覚訳,17ページ)がうまれ,ヘーゲルは,文字どおり「創造的な天才」(同ページ)であった。 それでは,ヘーゲル弁証法の三本柱のひとつ,いわゆる反射規定の独創的な洞察とはいかなるものであろうか。さしづめ,反射規定そのもののもっともシンプルな説明を引用すれば,つぎのとおりである。「上とは下でない4 4 ところのものである4 4 。上は下ではないと規定されているにすぎないが,しかも下があるかぎりにおいて4 4 4 4 4 4 4 のみある4 4 のである。そしてまたその逆でもある。即ち,一方の規定の中には,その反対が含まれている。父は子の他者であり,子は父の他者であって,各々はこのように他者の他者としてのみある。しかも同時に,一方の規定は他方の規定との関係の中にのみある。両規定の有は,ただ一つの存立である。父は子に対する関係を離れても独立的な或るものである。しかしその場合には父は父ではなくて,男一般である。同様に上と下,右と左もまた自己に反省した〔自立的な〕もの,関係を離れた或るものである。けれども,その場合には,単に場所一般であるにすぎない。」(ヘー