100号

100号 page 45/242

電子ブックを開く

このページは 100号 の電子ブックに掲載されている45ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
ヘーゲルの反射規定と『資本論』43ゲル『大論理学』[中巻]岩波書店,武市健人訳,80ページ,圏点 ヘーゲル,原著1812年刊) ここで,反射規定は,二つの契機のもつ内的な依存性という一面とおのおのの契機のもつ....

ヘーゲルの反射規定と『資本論』43ゲル『大論理学』[中巻]岩波書店,武市健人訳,80ページ,圏点 ヘーゲル,原著1812年刊) ここで,反射規定は,二つの契機のもつ内的な依存性という一面とおのおのの契機のもつ自立性というもう一つの別の面の二つの構成要素からとかれている。ヘーゲルの主張をふえんすれば,つぎのようになる。すなわち,北極と南極のような対立的な関係にあっては,一方の規定は,他方の正反対の規定と相即不離である。北極と南極との関係にあっては,一者は,おのおの他者なしにはありえず,一方の存在の条件は,その正反対の性格をもつ他方の存在であるから,両者は,切っても切れない不可分の関係にある。他方が一方にたいして,他者の他者として,一方とは正反対の契機をもってなりたつ関係は,他方が一方の性格の反射として存在するそれにひとしい。だから,一者は,それ自体で,同時に他者の存在とのつながりをふくんでいる3)。ところが,片方は,もう一つ別の片方との区別によって,それをはなれて自立的な存在としてあらわれる。たとえば,月光は,太陽光線の月面での反射にすぎないのに,あたかも月そのものからはっする光としてあらわれる。また,男性の存在は,女性の存在なしにはありえないのに,ひとは,じぶんが男性である事実を自己にそなわった性別として独立的に認識する傾向におちいりがちである。 それでは,なぜ片方が自立的にあらわれるかといえば,片方は,それ自身が他者の他者という特有な規定として,それの相手方としての片方をつつみこむ必然的な結果,表面上,前者は,後者との関係をもたない単独の存在としてたちあらわれるからだと,ヘーゲルはいうのである。反射規定の別の呼び名が「対立物の相互浸透の法則」であるのも,片方の存在それ自身のなかに,もう片一方の契機が他者の他者としてはねかえる不可避的な帰結としてうまれる外観上の自立性に着目した命名にほかならない。 ヘーゲル哲学を継承して,マルクスが反射規定に明示的に論及したのは,等価形態の直接的な交換可能性をめぐってであった。「一般的直接的交換可能性の形態4)を見ても,それが一つの対立的な商品形態であって,ちょうど一磁極の陽性が他の磁極の陰性と不可分であるように非直接的交換可能性の形態と不可分であるということは,けっしてわからないので