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ヘーゲルの反射規定と『資本論』45避的に等価形態という対極に排除され,二つの商品は,両極端に反発しあう関係にたつからである。単一の価値表現にしめる両極は,まるで一つの磁石のプラスとマイナスのように,きっ....

ヘーゲルの反射規定と『資本論』45避的に等価形態という対極に排除され,二つの商品は,両極端に反発しあう関係にたつからである。単一の価値表現にしめる両極は,まるで一つの磁石のプラスとマイナスのように,きってもきれない関係にありながら,おのおの反発しあう相いれない正反対の性格をもつ。 以上,本節で,二つの契機の依存性と自立性の両面からなりたつヘーゲルの反射規定をほりさげた。たしかに,反射規定は,ふかい思索にうらづけられた「画期的な仕事」(『フォイエルバッハ論』17ページ)である。1) 「近代のドイツ哲学の最大の功績は,思考の最高形式としての弁証法をふたたびとりあげたことである。古代ギリシャの哲学者たちはみな生まれながらの,天成の弁証家であった。」(エンゲルス『空想から科学へ』75ページ)2) 「ヘーゲルは観念論者であった。つまり,彼にとっては,彼の頭脳のなかの思想は現実の事物や過程の多かれ少なかれ抽象的な模写とは考えられないで,逆に,事物やその発展がすでに世界よりもまえからどこかに存在している『理念』の現実化された模写でしかないと考えられたのである。」(同上,82ページ)「ヘーゲル体系によれば,理念,思想,概念が,人間の現実的生活,彼らの物質的世界,彼らの実在的関係を生産し規定し支配してきた。」(マルクス/エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』国民文庫,真下信一訳,34ページ)3) 反射規定において一方が正反対の契機である他方をふくむというのは,両者のあいだの必然的なつながりの存在をいみする。たとえていえば,じぶんがどんな存在であるかという自己の規定も,他者の存在に照らさなければなりたたない点で,それ自身,すでに他者とのむすびつきをふくんでいる。そのいみで,自己認識にも,反射規定に類似した性格がある。 反射規定のうち,二つの契機の不可分性について,ヘーゲルは,つぎのようにも説明している。「肯定的なものと否定的なものとは,したがって,本質的に制約しあっているもの,相互関係においてのみ存在するものである。磁石の北極は南極なしには存在しえず,南極は北極なしには存在しえない。磁石を切断すれば,一片には北極が,他方には南極があるというようなことはない。同様に電気においても,陽電気と陰電気とは独立に存立する別々の流動体ではない。一般に対立においては,区別されたものは自己にたいして単に或る4 4 他物を持つのではなく,自己に固有の他者4 4 4 4 4 4 4 4 を持つのである。普通の意識は,区別されたものは相互に無関係であると考えている。…例えば,われわれは無機的自然を単に有機的なものと別なものとのみみるべきではなく,有機的なものに必然的な他者とみなければならない。両者は本質的な相互関係のうちにあり,その一方は,それが他方を自分から排除し,しかもまさにそのことによって他方に関係するかぎりにおいてのみ,存在するのである。」(ヘーゲル『小論理学』[下