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46 高知論叢 第100号巻]岩波文庫,松村一人訳,31-2 ページ,圏点 ヘーゲル,原著1817年刊)4) 一般的直接的交換可能性の形態とは,「絶対的に譲渡されうる商品」(Kapital, Ⅰ , S.124)つまり「商品の絶対的....

46 高知論叢 第100号巻]岩波文庫,松村一人訳,31-2 ページ,圏点 ヘーゲル,原著1817年刊)4) 一般的直接的交換可能性の形態とは,「絶対的に譲渡されうる商品」(Kapital, Ⅰ , S.124)つまり「商品の絶対的な形態」(Ibid., Ⅲ , S. 342, S. 611)とおなじである。5) 「一商品の等価形態は, 他の諸商品の諸関係の反射(Reflex)である。」(『資本論第一巻初版』,33[原]ページ)2 資本と生産関係 前節では,ヘーゲル論理学の三大支柱の一つをなす反射規定とはなにかをあきらかにした。ところが,反射規定をふまえれば,資本とは生産関係だというマルクスの根本命題のふくむ深遠な含意がたなごころを返すようにとける。そこで,本節では,反射規定に立脚して,資本とは生産関係だという根本命題のほんらいのいみをとく。 資本とは,古典派のいうように,「蓄積された労働」(リカード『経済学および課税の原理』雄松堂書店,堀 経夫訳,410[原]ページ)ではなく,本質からみて生産関係であるというのが,マルクスの根本的な立場である。「資本は物ではなく,一定の,社会的な,一定の歴史的な社会構成体に属する生産関係(Produktionsverhaltnis)であ(る)。」(Kapital, Ⅲ , S. 822) ここで,資本は,一方の極にあって,他方の賃労働1)を対極にもつ自立的な契機をあらわす。だから,資本とは生産関係だという命題をふかめる根本前提は,対極の賃労働と相対する一極の独立的な存在としての資本が問題の対象だという点にある。換言すれば,資本イコール生産関係という命題の解決にあたって,その資本に賃労働をくわえてかんがえるとすれば,そこには,問題の所在のとりちがえがあることになる。資本と4 賃労働は,資本家と労働者とのあいだの生産関係である事実をだれも否定しない。磁石のプラスは,マイナスと反発しあう正反対の契機であるのとおなじように,資本は,他方の賃労働の対極にたつ一方の自立的な契機として存在する。 それでは,いったい,賃労働に対立して存在する資本は,単独で,なぜ生産関係なのであろうか。それを解決する鍵は,ヘーゲルの反射規定にある。すなわち,それによれば, 磁石のプラスとマイナスのような対立的な関係にあっ