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ヘーゲルの反射規定と『資本論』47ては,一方の規定は,他方の正反対の規定と独特なむすびつきの仕方をもつため,前者は,後者が存在する事実を同時にいみする。だから,一方の規定は,それ自体で,他方との特有な連....

ヘーゲルの反射規定と『資本論』47ては,一方の規定は,他方の正反対の規定と独特なむすびつきの仕方をもつため,前者は,後者が存在する事実を同時にいみする。だから,一方の規定は,それ自体で,他方との特有な連関をふくんでいる,という。 そこで,資本にそくして反射規定を具体的にふえんすれば,つぎのようになる。資本とは,その生成が生産条件と労働者との歴史的な分離過程である本源的蓄積によって端的にしめされるように,排他的な所有になる生産条件(生産手段プラス生活手段)である。本源的蓄積は,独立生産者のあいだに分散した生産条件の独占的所有をつくりだし, 少数の人々の手もとに集積した。資本は,古典派の定義するように,超歴史的に存在する生産条件=「蓄積された労働」ではなく,その素材的実体としての生産条件が排他的に所有されてはじめてなりたつ。だから,資本はなぜ生産関係かととう問題は,いいかえれば,排他的所有になる生産条件が生産関係に帰着するのはなぜかをとくことにひとしい。結論をさきまわりしていえば,自立的な性格をもつ資本が生産関係であるゆえんは,生産条件の排他的所有がそれから排除された賃労働とのつながりを必然的にふくんでいる点にある。一つの社会のなかにあって,生産条件が一部の人々の排他的所有物になるという特有な契機は,のこりの大多数がその生産条件の所有から除外される正反対の契機と一心同体である。生産条件の排他的所有の存在は,同時に,それから除外された賃労働の存在をいみする。したがって,生産条件の排他的所有は,それ自体で,そこから排除された賃労働との連関をふくんでいる。生産条件の排他的所有で表現される資本が生産関係であるのは,磁石のプラスがマイナスとのつながりを内包しているのとおなじように,その排他的所有がそこから排除された賃労働との関連のなかでのみなりたつ事実に起因する。だから,資本とは生産関係だという命題は,反射規定をかえりみれば,容易に理解される。資本がなぜ生産関係かという問題は,独立した存在である貨幣がなぜ「社会的生産関係」(Kapital, Ⅰ , S. 97)の表現かという問題とおなじである。貨幣や資本が生産関係を表現する問題はともに,ヘーゲルの反射規定を通有している2)。 以上,本節で,反射規定の見地にたって,賃労働と対立的な契機である資本がそれ自身で生産関係に帰着する理由をといた3)。