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52 高知論叢 第100号働をうみだすとすれば,片方での能動的な契機としての資本の蓄積は,同時に他方での賃労働の増大をつくりだす。資本は,賃労働の分量をふやすことによってのみ,さらにいっそう増殖することがで....

52 高知論叢 第100号働をうみだすとすれば,片方での能動的な契機としての資本の蓄積は,同時に他方での賃労働の増大をつくりだす。資本は,賃労働の分量をふやすことによってのみ,さらにいっそう増殖することができる1)。以前に比して一回りおおきな資本規模は, 以前にくらべ一回りおおきな賃労働と連動する。まさしく,資本蓄積すなわち資本の増大は,資本へ再転化される剰余価値の母胎としての賃労働の増加にひとしい。「資本がふえるのは,プロレタリアートが,すなわち労働者階級がふえることである。」(『賃労働と資本』国民文庫,村田陽一訳,51ページ,全文圏点)「労働力の再生産は,事実上,資本そのものの再生産の一契機をなしているのである。つまり,資本の蓄積はプロレタリアートの増殖なのである。」(Kapital, Ⅰ , S. 642)「資本の増大とプロレタリア4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 ー4 トの増殖4 4 4 4 とは,同じ過程の対極的に分かれた所産4 4 だとはいえ,同じ過程の共属的な所産4 4 として現われる。」(『直接的生産過程の諸結果』国民文庫,岡崎次郎訳,493[原]ページ,圏点 マルクス)資本の存在の反射として,賃労働がなりたつとすれば,資本の増大の反射として,労働者数の増加がなりたつ。だから,資本蓄積にともなう労働供給増加の想定は,さかのぼって,資本の反射として賃労働がなりたつ両者の背中あわせの関係にもとづく。資本蓄積に随伴する労働供給不変の想定は,資本と賃労働とのあいだに成立する反射規定に背をむけた必然的な帰結である。労働者数不変の仮定の理不尽さは,失業者の創出を資本蓄積にともなう就業者(可変資本)の減少からみちびく立論に拡大再生産される。労働者人口不変の仮定にあっては,「資本4 4 と労働4 4 との同一性」(Mehrwert, MEGA,Ⅱ /3・4, S. 1390,圏点 マルクス)が本源的に理解されていない。 以上,本節で,賃労働の存在は,論理的に先行する積極的な契機としての資本の反射であるとすれば,労働者人口の増加は,資本の増大とリンクしたその反射である関係を主張した。だから,資本蓄積の基礎上での労働者人口増加の仮定にも,ヘーゲルの反射規定が妥当する。1) 「人口の増加4 4 4 4 4 は,絶えず進行する蓄積過程の基礎として現われる。しかし,それは,労働者人口の再生産だけでなくその不断の増大をも許す平均賃金を前提するのである。」(Mehrwert, MEGA,Ⅱ /3・3, S. 1101,圏点 マルクス)