100号

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ヘーゲルの反射規定と『資本論』53むすび 本稿で,『資本論』第Ⅰ巻を対象に,資本=生産関係命題や富と貧困の関係あるいは資本蓄積にともなう労働者数増加の仮定の基底に,ヘーゲルの反射規定がよこたわっている深....

ヘーゲルの反射規定と『資本論』53むすび 本稿で,『資本論』第Ⅰ巻を対象に,資本=生産関係命題や富と貧困の関係あるいは資本蓄積にともなう労働者数増加の仮定の基底に,ヘーゲルの反射規定がよこたわっている深層を分析した。 最後にいえば,「資本と賃労働との社会」(Kapital, Ⅰ , S. 191)の研究書がもつ『資本論(Das Kapital)』という表題は,一方の資本がそれ自身のうちに賃労働の存在を反射規定としてふくむ事実にゆらいする。だから,資本が賃労働を反射規定にもつかぎり,Kapital und Lohnarbeit と名づけるのも,Das Kapital という表題をつけるのも,その対象領域は同一である。それとおなじように,「資本および賃労働の生成史を形成する歴史的過程」(Grundrisse, MEGA, Ⅱ /1・2, S. 393)をとく第24章の表題が「いわゆる本源的蓄積」であるのは,本来的には資本そのものの生成をあらわす一方の本源的蓄積が,それ自身のなかに生産条件から分離された賃労働者の形成をその反射として包含するためである。本源的蓄積をもって,ひとが資本と賃労働の両契機の形成をおもいうかべるとすれば,そこには暗黙のうちに反射規定の認識があることになる。本源的蓄積は,それ自身,直接には生産条件の排他的所有である資本の歴史的な生成をいみするにすぎない。第24章表題の本源的蓄積が賃労働者の誕生というもう一方の契機もふくむのは,資本の反射規定として賃労働がなりたつ関係に起因する。だから,第24章表題の本源的蓄積そのものが,じつは反射規定を内包しているのである。