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介護労働の変容と財政課題57施策である」と述べたうえで,「今後増大する介護サービスのニーズに対し安定的に適切な介護サービスを供給していくためには,当面の基盤整備は一般財源に依存するにしても,将来的には,....

介護労働の変容と財政課題57施策である」と述べたうえで,「今後増大する介護サービスのニーズに対し安定的に適切な介護サービスを供給していくためには,当面の基盤整備は一般財源に依存するにしても,将来的には,財源を主として保険料に依存する公的保険制度を導入する必要がある」と,初めて公的介護保険制度の創設を明言した。またその理由として,「長寿社会にあっては,すべての人が,期間はともかく相当程度の確率で介護の必要な状態になり得ることから,保険のシステムに馴染む」と説明した。さらにこれに引き続き,公的介護保険制度の特徴として,①「保険制度であるから,保険料を負担する見返りとして,受給は権利であるという意識を持たせることができる」,②「負担とサービスの対応関係が比較的わかりやすいことから,ニーズの増大に対し量的拡大,質的向上を図っていくことに国民の合意が得られやすい」,③「介護保険が,一定の質的水準を有する公営,民営の介護サービスの費用を負担するようになれば,利用者にとって選択が可能になり,供給者間の競争を強め,サービスの量的拡大とともに質の向上を図ることができる」,④「民間保険と違い,(中略)強制加入となることによりすべての人の要介護のリスクをカバーできる」などの点をあげた。これらの指摘は,①介護保障の権利性及び社会保険における権利性をどう考えるか,②社会保険における負担と給付の対応関係をどうとらえるか,③民間参入によりサービスの量的・質的拡充が図られ,契約方式によりサービスの選択性が確保されるか,④社会保険によって真に普遍的な給付が実現できるか,といった重要な論点に関わるものである。社会保障将来像委員会の提起は,その後,厚生省の高齢者介護対策本部に設置された高齢者介護・自立支援システム研究会に引き継がれ,同年12月,「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」と題された報告書において,公的介護保険制度の理念と基本的な考え方が示された。この報告書ではまず,介護の基本理念を「高齢者が自らの意思に基づき,自立した質の高い生活を送ることができるように支援すること,すなわち『高齢者の自立支援』」としたうえで,基本的な考え方として,①予防とリハビリテーションの重視,②高齢者自身による選択,③在宅ケアの推進,④利用者本位のサービス提供,⑤社会連帯によ