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介護労働の変容と財政課題61こととする。介護報酬に関する基本的な考え方が示されたのは,1998年の医療保険福祉審議会介護給付費部会(第8回)における「介護報酬の主な論点と基本的考え方  中間とりまとめ」(19....

介護労働の変容と財政課題61こととする。介護報酬に関する基本的な考え方が示されたのは,1998年の医療保険福祉審議会介護給付費部会(第8回)における「介護報酬の主な論点と基本的考え方  中間とりまとめ」(1998年10月26日)である4。このなかで,報酬設定方法の選択肢として,①家事援助や介護に関する行為を細分化して積み上げを行い,評価する方法,②時間単位で報酬を設定し,その時間により提供できるサービスの組合せを示す方法,③入浴,排泄等の主要な介護サービスにより大枠でサービスの組合せを設定し評価する方法が提示された。そのうえで,「利用者の便宜や現場でのサービスの柔軟性を考慮すると,(中略)サービスに要する時間を念頭に置き,標準的なサービスの組合せを考慮の上,介護報酬を設定することが現実的」であるとした。さらに,「訪問介護の報酬の水準について,その専門性を確保するため身体介護を中心に,必要な供給量が確保できるよう,適切に評価する必要性がある」とし,身体介護を中心としてサービス内容と報酬設定を行う方向性が打ち出されたといえる。1999年5月,第10回介護給付費部会において,介護報酬設定のイメージが示された5。訪問介護については,包括部分と加算部分の組合せで算定する考えが示され,包括部分には,①訪問介護サービスにかかる費用(訪問介護員6等の4 森川美絵〔2010〕「『介護労働の低評価』再考  日本の介護保険制度における介護労働評価の枠組み」社会政策学会第121回大会テーマ別分科会・高齢者ケアの供給システム:従事者の連携・確保・労働評価,2010年10月30日,於・愛媛大学。5 大坪宏至〔2000〕「わが国介護保険制度における介護報酬に関する基礎的考察」『経営研究所論集』第23号,pp. 198-200。6 介護保険法の制定に伴い,それまでの「ホームヘルパー」から「訪問介護員」へ,「ホー 表6 介護報酬(2000~2002年度)30分未満30分以上1時間未満1時間以上以降,30分増すごと身体介護中心型210単位402単位584単位219単位加算複合型設定なし278単位403単位151単位加算家事援助中心型設定なし153単位222単位 83単位加算注)単位は5つの地域区分に応じ,1単位=10.00~10.72円の5段階に設定される。出所)厚生労働省告示「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(介護保険制度研究会『介護保険関係法令実務便覧』)を参照し,筆者作成。