100号

100号 page 68/242

電子ブックを開く

このページは 100号 の電子ブックに掲載されている68ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
66 高知論叢 第100号4章 介護報酬の現状と課題1.介護報酬の改定とその問題点2000年4月から施行された介護保険制度は,経済的状況や家族の状況に関わらず,被保険者の要介護状態(身体状況)のみにもとづきニー....

66 高知論叢 第100号4章 介護報酬の現状と課題1.介護報酬の改定とその問題点2000年4月から施行された介護保険制度は,経済的状況や家族の状況に関わらず,被保険者の要介護状態(身体状況)のみにもとづきニーズの有無や必要なサービス量を認定し,給付することが実質化し,新たなニーズを掘り起こすことにつながった。介護保険の給付費が伸びるとともに,制度上の問題点や課題も様々に指摘されるようになったが,以下では,訪問介護の介護報酬に関する議論と改定の経緯,その問題点について検討していく。(1)2003年改定:「複合型」の廃止介護報酬は介護保険法において3年ごとに見直しをすることが規定されているが,介護保険制度の施行後,それまでの医療保険福祉審議会介護給付費部会が,新たに設置された社会保障審議会介護給付費分科会に引き継がれ,その後,介護保険の報酬・運営基準などが中心に審議された。2001年11月,第2回介護給付費分科会において「訪問介護の報酬体系を考える視点」の1つとして,訪問介護の類型化や報酬の水準などに関する意見や論点が示された。まず,訪問介護の類型化に関しては,現行(当時)の3類型を一本化すべきという意見が紹介され,その理由として①単価の低い家事援助の割合が高く,事業の採算をとれない,②身体介護と家事援助でコストの差がない,③身体介護と家事援助は明確に区別できない,④サービスは身体介護だが,利用者が一部負担の低い家事援助を選択する,などがあげられた。反対に,従来通り身体介護と家事援助に差を設けるべきという意見も紹介され,①身体介護の専門性を確保するために,高く評価すべき,②家事援助のニーズは要介護者に限られないため,低く評価するか,保険給付から除外すべき,③家事援助は,利用者と事業者の間で価格を設定し,公定上限の範囲で給付すべき,という考えが示された8。8 第2回介護給付費分科会(2001年11月5日)議事録参照。