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介護労働の変容と財政課題67見直しの方向性が異なることの背景として考えられる論点は,①身体介護と家事援助の専門性をそれぞれどのように考えるか,②現場で実際に行われている身体介護と家事援助のサービスがどの....

介護労働の変容と財政課題67見直しの方向性が異なることの背景として考えられる論点は,①身体介護と家事援助の専門性をそれぞれどのように考えるか,②現場で実際に行われている身体介護と家事援助のサービスがどのように適用されているか,③家事援助のニーズをどう捉えるか,④介護報酬の設定に際し,専門性やコストの違いをどう考慮すべきか,などがあげられる。特に,事業者は採算の面から単価の高い身体介護の提供にインセンティブを持ち,反対に,利用者は利用料が高くなることから身体介護を選択しなくなるという現状があるなか,ニーズに応じたサービスを過不足なく適切に給付できるよう,報酬のあり方を見直す必要があった。その後,介護給付費分科会は事業者団体に対し介護報酬に関するヒアリングや意見公募を実施し,第7回介護給付費分科会(2002年4月8日)においてその結果を公表した。このなかで,各団体から様々な問題提起がなされたが,そのいくつかを以下で見ていく。民間介護事業者の代表団体である日本在宅サービス事業者協会9は,訪問介護における複合型を廃止するとともに家事援助の報酬単価を引き上げるべきだとする意見を示した。具体的には,①3類型の解釈において,ケアマネージャー,利用者ともに区分理解に苦しみ,現場混乱を招いており,その原因は複合型である,②民間事業所の身体介護の平均サービス提供時間当たり単価は,2,800円弱と介護保険スタート時の試算3,500円を20%割り込んだ水準にあり,事業採算が厳しい大きな一因となっている,これは,家事援助がスタート時の予測よりニーズが高く,3区分の中で3分の1強を占める状況のためである,③家事援助は,単なる家事サービスではなく,「ケアマネジメントに基づく介護」の一環として行われるものであり,介護の専門性による配慮を必要とすることから,家事援助を再評価し,報酬単価に反映すべきである,などの問題を指摘した。また全国農業協同組合中央会1 0は,3類型について,「利用者の日常生活を9 会員の全指定事業所数は,全国民間事業者(営利法人)の約40%を占める。第7回介護給付費分科会(2002年4月8日)資料参照。10 農業協同組合(JA)の総合指導機関。福祉に関しては,JA の介護保険事業所の運営・