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象徴天皇と神話5中国に使はせる所以はその荒ぶる神等を言趣け和せとなり」と語った。天照大神はまた詔して天鳥船神とともに武御雷之男神を派遣した。その結果葦原中国は服属し大国主神の子孫は国を譲った。天照大神....

象徴天皇と神話5中国に使はせる所以はその荒ぶる神等を言趣け和せとなり」と語った。天照大神はまた詔して天鳥船神とともに武御雷之男神を派遣した。その結果葦原中国は服属し大国主神の子孫は国を譲った。天照大神は高木神の命もちてひつぎのみこに詔りたまひしく「降りまして知らしめせ」とのりたまひき,「この葦原瑞穂の国は汝知らさむ国ぞと言依さしたまふ。故,命の随に天降るべし6 」と述べ,天孫族による葦原中国の統一がなされた。天照大神は「高天原を所しろ知し看めて天地の表裏をくまなく御照し座ます7」特別な天地の神であった。天照大神が命じた天孫の神々には,シロシメスが必ず使われた。以上が『古事記上つ巻』における天照大神による下界への命と神々の派遣の物語である。シラス,シロシメスは天孫降臨族の国家統一に使われているが,出雲の豪族に対しても「天下のことを知れる神0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 」という呼称を使っている。以後,後世の詔,神代以降の『記紀』中の天皇即位言葉にある「知らす」は天孫族による国家統一を意味する言葉として継承される。橘守部は『古事記』より『日本書紀』を重んじた。明治の『日本書紀』研究者飯田武郷は,シラスの訓は漢文の訓であり,特別な意味を込めてはいないと述べており,井上毅とは異なる見解をとっている。『日本書紀卷第二神代下』には以下の様にシラス,ウシハクが記されている箇所がある。大人をうし,馭をしらすと訓じる。「天照大神の子……仍りて其の子,大おお背そ飯びの三熊くま之の大う人し,亦の名は武たけ三み熊くま之の大う人しを遣しき」「此の神,亦忠誠ならず。來り到りて即ち顯國玉の女子下照姫を娶り,因りて留り住みて曰く,吾は亦葦原中國を馭しらさんと欲す遂に復命さず」『古事記』は詩的な文章が多く,『日本書紀』神代にはより神の威稜を論じた神学的な記述が多い。また『古事記』には天皇即位におけるシラスの用例が非常に多く,一方で『日本書紀』には天皇即位の際の詔がそのまま引用され「詔曰」となっており,より記録的要素が強い。6 同上書65頁7 『古事記伝巻七』神代五巻『本居宣長全集第一巻』321頁